米中“同時債務危機” 習政権「自爆」でバイデン大統領も巻き添え 「米国債を売るぞ!」と脅しも 大原浩氏が緊急寄稿(熾烈!米中“激突”へ)

2021.11.1
中国恒大集団が建設中のビル=9月、湖北省
中国の不動産危機がくすぶっている。その裏に、習近平政権が経済を「自爆」させ、債務上限問題を抱えるジョー・バイデン米政権に脅しをかける狙いがあるとみるのは国際投資アナリストの大原浩氏だ。寄稿で大原氏は、インフレ懸念が高まるなか、米中がデフォルト(債務不履行)危機に直面する恐れもあると指摘する。
不動産大手、中国恒大集団は29日に米ドル建て債の利払いを行ったと報じられたが、綱渡りが続いている。中国恒大の負債は約33兆円と見積もられるが、公式統計では中国の国内総生産(GDP)は、約1500兆円だ。不動産業界のみならず、この問題が広く波及したときに「中国経済危機」の激震は恐るべきものになるかもしれない。
これまでも習氏は「ネオ毛沢東」ともいえる「経済よりもイデオロギー」路線を明確にしているから、「自爆」によって、江沢民派(浙江財閥)を“根絶やし”にしようとする可能性も十分にある。
その「自爆」が、海外にも波及するであろうことは疑いがない。特に気になるのは、中国恒大の国内向けの支払いに比べて、ドル建てを中心とする海外向けの支払いがきわめて冷遇されている点である。
中国国民への支払いは「政治的」に極めて重要だが、海外への支払いが滞ってデフォルトを宣言されても、イデオロギー優先の習政権には痛くもかゆくもない。海外からの借金を踏み倒しても、毛沢東時代のように「竹のカーテン」を引けばよいだけのことである。
実際にはそこまで大胆なことを簡単に実行するとは思わないが、自由主義陣営への「脅し」に使うことは十分考えられる。
最も可能性が高いのは中国が「(保有する)米国債を売るぞ!」という脅しである。中国恒大のドル建て利払いに対する態度を見れば、可能性はかなり高いのではないか。そうなると、米国にとって打撃は大きい。
ただでさえ、債務上限問題やインフレによる金利上昇によって、米国財政には赤信号がともっている。債務上限問題は米国の歴史上繰り返し登場しているし、上院共和党トップのミッチ・マコネル院内総務の譲歩もあって、連邦政府の債務上限を12月3日まで引き上げる法案を可決した。だが、これはあくまで問題の先送りに過ぎない。
マコネル氏は10月8日、バイデン大統領に書簡を送付し、「連邦債務の法定上限を巡り、次にこの問題が浮上した際には支援しない」との姿勢を示した。つまり、民主党が単独で解決しない限り、形式的ではあっても米国が「債務不履行」という事態を迎えるのだ。
共和党がなぜこのような強硬な姿勢をとるのかといえば、民主党の提案する巨額の予算によって、米国の財政だけではなく、将来の米国経済に「惨劇」が訪れる可能性があると考えるためであろう。
しかも米国はこれからインフレで高金利の時代へ突入しつつある。米連邦準備制度理事会(FRB)は、「インフレは一時的なものだ」と繰り返すが、それでも11月にも量的緩和の縮小(テーパリング)を実行するのは既定路線だ。
金利が上昇し、中国による米国債売却の脅しも想定される中で、日本のGDPに匹敵する約500兆円ものバラマキを行おうとしているバイデン氏を共和党が全力で阻止していようとするのは当然のことだと考える。
日本は米国と違って企業の内部留保が潤沢で、インフレの時代には「長く使えて良質」である日本品質が好まれる。人件費よりも原油など資源エネルギー価格が大きな問題になるから、中国の数倍は効率が良いといわれる日本に製造業が回帰してもおかしくない。
国家財政はどうなるか。技術的には債務不履行を宣言せずに解決する方法はある。戦後行われた預金封鎖、新旧円交換、財産税のうち、財産税は現在の憲法でも実行可能な「徴税権」に基づくものだ。だが、それがわれわれの目指すべき道なのだろうか。
■大原浩氏(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。
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