東アジア歴史文化研究会のブログ

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三井・三菱出資のサハリン2〝強奪〟プーチン大統領が強硬手段 日本のLNG需要量9% 「参院選の混乱狙い…中国や北朝鮮に提供か」

東アジア歴史文化研究会

2022.7.1
「サハリン2」から液化天然ガスを運ぶタンカー(AP)

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が強硬手段に乗り出した。日本の大手商社が出資する極東サハリンの石油・天然ガス開発事業「サハリン2」について、運営会社をロシア企業に変更する大統領令に署名したのだ。ロシアメディアが6月30日に伝えた。ロシアによるウクライナ侵攻を受け、日本政府は「力による現状変更」に断固反対する一方、サハリンでの権益を死守する姿勢を示してきた。参院選(10日投開票)で「エネルギー安全保障」が焦点の1つとなるなか、ロシアに対峙(たいじ)するNATO(北大西洋条約機構)首脳会議に出席した岸田文雄首相は国益を守り切れるのか。

ロシア有力紙のコメルサントは6月30日、プーチン氏がサハリン2の所有権を、すべてロシアに譲渡する大統領令を出したと報じた。日本の大手商社が新たな条件下でのプロジェクトにとどまることを拒否した場合、株の売却などを伴うという。

ロシア政府は、日本が欧米諸国とともにウクライナ侵攻への金融制裁や輸出入規制などの対ロ制裁へ乗り出したことを受け、日本を「非友好国・地域」と指定していた。

ロシアのヴャチェスラフ・ヴォロジン下院議長は5月25日、「日本や英国などはロシアを罵(ののし)りながら、巨額の配当を黙って受け取っている」と批判したうえで、サハリン2の出資比率の見直しを提案していた。

サハリン2は、ロシア初の液化天然ガス(LNG)プロジェクトで、1999年に原油の生産がスタートし、2009年にLNGの出荷が開始された。ロシア国営ガスプロムが約50%、英石油大手シェルが約27・5%、三井物産が12・5%、三菱商事が10%を出資しており、これまでの投資総額は約200億ドル(約2兆7150億円)以上という。

生産能力は、原油が1日15万バレルで、LNGが年間1100万トン。LNGの約6割は日本向けに供給されている。日本のLNG需要量の約9%をサハリン2から輸入しており、電力供給力の3%に相当する。

シェルは、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、2月下旬にロシアの全事業から撤退すると発表していた。

これに対し、岸田首相は3月31日の衆院本会議で、「(サハリン2は)エネルギー安全保障上、極めて重要なプロジェクト」との認識を示したうえで、撤退しない方針を明かしていた。また、5月31日の参院予算委で、萩生田光一経産相は「日本政府も含めた日本企業の権利を有しているものでありますから、どけと言われてもどきません」と明言していた。

今回の大統領令をどう分析するか。

ロシア事情に詳しい筑波大学名誉教授の中村逸郎氏は「サハリン2における日本の権益を守るのは極めて厳しい」といい、こう続けた。

「ロシアに権益を奪われることは、プロジェクト開始時からのリスクだった。日本が対抗することが難しい、参院選のタイミングを狙ってきたとみる。日本国内で対立を起こし、混乱させることでダメージを与えることもできる。ロシアは日本向けだった天然資源を、中国や北朝鮮などの友好国へ輸出し、結束を高めるだろう」と語った。

記録的な猛暑で電力逼迫(ひっぱく)が指摘されるなか、「安価で安定的な電力供給」は政府の責任である。岸田政権は「エネルギーの安定供給」に向けて、早急に政策の見直し・修正に着手すべきではないか。