サウジ、露骨な反バイデン。原油を減産して米国の顔に泥を塗った 慌てたシシ(エジプト大統領)がサウジ訪問(宮崎正弘国際情勢解題)

バイデンがサウジアラビアを訪問し、原油の増産を要請してから9ヶ月。
2022年7月15日に、バイデンはサウジで首脳会談を行ったものの、サウジアラビア政府は声明で「両国は国際的な原油市場をめぐって、定期的に意見を交わすことで合意した」とだけ述べた。
「人権」を重視する米国リベラル思想をせせら笑うサウジは、愈々反米の立場を鮮明にした。これで1974年から成立していた「ペトロダラー体制」は風前の灯火になったのではないか。
昨年7月16日にはジッダでGCC=湾岸協力会議の加盟国や、イラクなど9か国首脳との会合に出席したバイデン大統領は「アメリカは今後も中東に積極的に関与するパートナーであり続ける」とし、関与継続を唱えるとともに各国に原油の増産も呼びかけた。
米国の要請に聞く耳を無くしたサウジアラビアは同年10月にOPECプラスに呼びかけ、日量200万バーレルの減産で合意していた。
この間、ダボス会議で演説したサウジ財務大臣は従来の同盟国への援助形態を変更すると爆弾発言をしている。だまって隣国エジプトの軍事政権の安定に資金の提供はしないと示唆したのである。だからシシ大統領は4月2日にサウジへ飛んだのだ。
その一方で険悪な関係に陥っていたトルコへの姿勢がかわった。サウジの反体制ジャーナリストのカショギがトルコのサウジ領事館で殺害された事件で、トルコは主権侵害に怒り、両国関係は冷え切っていた。2月、サウジアラビアはトルコの中央銀行に50億ドルを預託した。エルドアン体制を支えるためとみられる。
2023年4月2日、サウジは唐突に減産を発表した。サウジが日量50万バーレル。イラクが21・1万バーレル。UAEは14・4万バーレルをそれぞれ減算し、三ケ国合計で100万バーレル。
ロイターによれば、「石油輸出国機構(OPEC)」とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」の追加減産は116万バーレルで、5月から開始し、年末まで継続する。OPECプラスの減産量は日量366万バーレルとなり、世界需要の3.7%相当する。
市場は想定外のサウジの出方に狼狽した。4月3日、石油代金は当然のことながら沸騰し1バーレルが80ドルに近づいた。
実は3月30日に米国議会下院は「米国内の石油ガス増産ならびに新規開発を促進する法案」を225 vs 205で可決していた。
下院案は上院へ送られ、両院で可決すれば大統領の署名となる。しかし環境保護派とリベラルが多数派を占める上院で可決はむずかしいと観測される。したがって原油とガスの価格はしばし高値圏を維持するだろう。
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