インテルの拡張路線に中国が横やりをいれた イスラエルの「タワー・セミコンダクター」買収は中止に(宮崎正弘国際情勢解題)
インテルCEOのゲルシンガーが七月に急遽、訪中した理由が分かった。
インテルは米国内ばかりか、ドイツなどでも半導体製造工場を建設しており、その拡大主義路線が注目されていた。
ドイツに300億ドル、ポーランドに後処理工場を建設し、46億ドルの投資など前向きなプロジェクトが目白押しだった。
2022年にインテルはイスラエルの「タワー・セミコンダクター」を54億ドルで買収すると発表した。イスラエルにも躍進的進出をなすインテルの強気もさりながら、これは世界半導体市場の流れを変える画期的な買収になるといわれた。
当該タワー・セミコンダクターはファンドリーとしても活発なビジネスを世界で展開し、イスラエルに二つの工場のほか、イタリア、米国にも二工場、日本にもパナソニックと提携した処理工場とラボがあり、中国にも合弁企業がある。
8月15日(買収案件の交渉期限)になって、インテルは「買収は不成立、罰金3億5300万ドル支払いに応じる」と発表した。
原因は中国の反対である。
タワー・セミコンダクターの全役員の同意が必要となっており、中国は「審査が難しい」などと言いがかりをつけて、首を縦に振らなかったのだ。
米中の対立が深まってバイデン政権は先端半導体の中国への輸出規制を強化している。中国は猛烈に反発し、マイクロンの国内調達を停止し、ゲルマニウム、ガリウムの輸出を規制するなど報復措置をとってきた。
また英アームのエヌビディアへの売却にも反対して案件を破棄させ、2021年には米アプライドマテリアルズによる旧日立製作所系「国際」(KOKUSAI ELECTRIC)買収も中国の規制当局の承認を得られず破談となった。
インテルのゲルシンガーCEOは、こうした背景を踏まえ、バイデン政権の対中政策に激しく噛みついている。
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