東アジア歴史文化研究会のブログ

日本人の素晴らしい伝統と文化を再発見しよう

産業ロボット世界一の座から日本は転落した 世界ロボット工場の50%が中国に移行していた(宮崎正弘国際情勢解題)

東アジア歴史文化研究会

1982年に筆者が『エリートビジネスマン・ロボット』(山手書房、絶版)を上梓したときの日本の産業状況は次のようだった。41年前のはなしである。

自動車生産でも塗装や部品取り付け、車体カバーのはめ込みなど3K現場がロボットに代替されつつあった。メディアはOA(オフィスオートメーション)に続いてFA(ファクトリーオートメーション)で技術革新が叫ばれていた。

コピィ機がFAXを兼ね、カラー印刷ができるようになるのは数年後だった。

他方、ロボット導入は雇用が失われると反対の狼煙はフランスから上がり、全米労組に拡大した。日本はむしろ3kから開放されるので労組に反対はなく、また生産現場ではロボットに愛称をつけた。外国人記者は奇妙視して報じていた。

産業ロボットの発展はますます精密化し、たとえば銀行証券の窓口へいくとロボットの受付嬢がいる。ペット替わり愛玩ロボットが増えた。ケアセンター、老人ホームでは体操指導ロボットが投入され、そのうち精巧なダッチワイフ・ロボットができる。

アマゾンに本でもTシャツでも食品でも良いが、注文すると、倉庫の何百万種の商品棚を掻き分けて、ロボット(人間のかたちをしていない)が商品を選別し、連動するラベルの箱に梱包し、目的地別の配送センターへ持ち込むまで、完全にロボットが作業する。古本屋を探しても見つからない書籍が、アマゾンを検索すると古書ルートで発見されることも多く、新刊本なら即日か翌日、古本でも三、四日で配達となる。これが産業ロボットの成果である。

この産業ロボットで世界一の筈だった日本が、いつしか中国にトップの座を奪われていた。

下記のグラフが象徴的だろう。

1図 従業員一万人に比較してのロボット投入台数

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 韓国     1000台
 日本      399
 ドイツ     397
 中国      322
 スウェーデン  321
 米国      274
 スイス     240
 イタリア    217
 カナダ     191
 フランス    163
(フランスが最も遅れている。出典 2021 STATISTA)

上図から僅か一年後、中国が躍進している。

2図  産業ロボットの新規投入数(2022年)

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 中国      29万基
 日本       5万
 米国       4万
 韓国       3万2000
 ドイツ      2万6000
 イタリア     1万2000
 台湾         8000
 フランス       7000

ここでも中国の発展は瞠目すべき数字となって現れている。

さてロボットの象徴は、ウクライナ戦争、イスラエルvsハマス紛争でも明らかになったようにドローンである。軍事用ドローンは技術的にアメリカがリードするのは当然だろうが、タレス・グループ、ロッキード・マーチン、ノースロップ・グラマンが牽引し、そのあとを追うのがイスラエル、トルコ、フランス、スウェーデン、中国、そしてインド、パキスタンなどが加わる。日本は軍事ドローンを生産していない。そればかりか発想さえ覚束ない。

民生用ドローンは世界シェアの80%が中国である。

中国深センが拠点の「DJI」一社だけで世界の70%、次がフランスのパトロール社、三番では米国の「3Dロボッティックス」社となっている。

日本は精密機器とレンス技術があり、撮影、偵察、観測用(地図の作成)などに用いられるが、これを軍事に転用しているが米国、中国ということになる。

ロボットに対する基本認識を日本は改める必要があり、民生用、産業用だけの視野狭窄的な技術の研究開発だけに留まらず国家安全保障という全体の流れとの整合性に繋げるべきではないか。