DOGE(政府効率化省)を率いるイーロン・マスクはフォートノックス砦に貯蔵されている(とされる)金塊の備蓄状況を調べるといいだした。
以前から訝しいとされたのは公式の8000噸のうち、どれだけが本物でタングステンに金メッキした金の延べ棒が混じっているのではないかとする疑惑を晴らさなければならない。
米国造幣局に拠ればケンタッキー州フォートノックスの要塞の保管庫に1億4730万トロイオンスの金が保管されているという。2月18日の金相場で換算すると、1トロイオンス=2930ドルだからフォートノックスにある金の価値は4350億ドル(約65兆8000億円)になる。ティファニーやルイ・ヴィトンの親会社LVMHの価値を上回る金額だ。
ところが財務省の帳簿には1トロイオンス=42.22ドルというレートで換算されているため、帳価は60億ドル(約9070億円)でしかない。
これまでフォートノックス金保管庫は、三回しか公開されていない。1943年にルーズベル元大統領が見学した。1974年には10人の議員が訪問した。2017年には上院院内総務のミッチ・マコーネルやスティーブン・ムニューシン財務長官らが訪問した。
1930年代にケンタッキー州の要塞建設が決まったのは欧州で戦争が激化し、米国東海岸の保管施設が外国からの攻撃に対して脆弱だとされたからだ。
2025年3月2日、トランプ米大統領は「新たな戦略通貨準備金に五つの暗号通貨を含める」とし、ビットコイン、イーサリアム、XRP、SOL、ADAの備蓄システムが創出される」とSNSに投稿した。大統領令ではない。
「大統領作業部会に、XRP、SOL、ADAを含む仮想通貨戦略準備金の策定を進めるよう」にと指示し、公約通りに「アメリカが世界の仮想通貨の中心地となる」としているのだが、とくに「BTC(ビットコイン)とETH(イーサリアム)が準備金の中心となるだろう」と具体的な暗号通貨名を付け加えた。
歴史的転換になる可能性がある。従来、SECは暗号通貨を厳格に規制し準備金化を排除してきた。とくにバイデン前政権下では「暗号通貨は詐欺やマネーロンダリング、不正取引、資産隠匿の手段」などとして業界を取り締まってきたのだから、むしろ暗号通貨を推奨するトランプは通貨政策の転換を狙っているとも捉えられる。
議会では関連法案が何本か提出されており、トランプ閣僚の殆どは暗号通貨擁護派、犯罪捜査でギャング団などから押収した2000億ドル分の暗号資産は、議会の動き次第では戦略準備金に参入できるとする意見もある。
▼「通貨発行益」理論とは無縁の構想だ
トランプの窮極の狙いは何かと考えてきたが、暗号通貨によりシニョリージを狙っている気配はなくFRBと真っ正面から挑戦を開始したわけでもない。
ただし暗号通貨を戦略備蓄にくわえるとなると、戦後世界経済を規定してきたブレットンウッズ(ドル基軸、世銀IMFを中軸とするシステムではSDR(特別引き出し権)が「代替基軸通貨」)の改編を意味し、その意味では「ブレトンウッズ30」となる。1971年にニクソンがドルの金兌換をやめたことが「ブレトンウッズ2・0」の位置づけになる。
トランプは3月2日までに、75本のEQに署名した。不法移民強制送還、DEI部門廃止、USAID廃止、ペンタゴン高官交代、FBI削減、教育省改革、軍隊へのトランスジェンダー入隊拒否などでアメリカ社会は上へ下への大騒ぎ。
すでに百本の訴訟が起こされている。アメリカは訴訟社会、当然予測されたことだが、壊滅状態の民主党をこえた超党派の反トランプ行動が、このところ活発化し始めた。
ヴァンス副大統領の休暇先で数百のデモ隊、テスラ販売店襲撃など暴力化している。
(●暗号通貨の詳細にご興味の向きは、現在発売中の「WILL」四月号の拙論を御参照いただければ幸です)
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