【韓くに便り 黒田勝弘】韓国は「放置国家」? 慰安婦像だけじゃない、放置される不法施設
産経ニュースより転載
ソウル中心部に光化門広場がある。旧王宮、景福宮の光化門前なのでそういう。景福宮の背後には大統領官邸があり、広場に面しては政府総合庁舎や外務省、米国大使館などがある。米国大使館裏には日本大使館もある。
広場にはその昔、豊臣秀吉軍の侵攻と戦った救国の英雄、李舜臣と、韓国が誇るハングルを制定した世宗大王のでっかい銅像が立っている。2人は文武それぞれの偉人伝中の人物である。したがって光化門広場は韓国を代表する広場であり、ソウルの観光スポットにもなっている。日本でいえば皇居前、米国ではホワイトハウス前といったところだ。
広場の入り口がソウルの東西と南北をつなぐ大通りの鍾路と世宗路の交差点になっている。ここは今は横断歩道があるが以前は地下歩道だけだった。この地下歩道にいつも雑貨やビデオ、CDなどを売る屋台や風呂敷を広げた露天商が座り込んでいる。
外国人の往来も多い韓国の表玄関だけに見苦しい。そこで以前、ソウル市長の記者会見の際、「あれは無許可の路上商売のようだが何とかならないのか?」と質問したことがある。答えは「貧しい生計型の露天商は黙認している」というものだった。実態は荷車で商品を運び込んでいるから生計型より企業型といった印象なのだが、業者の既得権として放置されている。
一方、地上の広場には無許可のテント村ができている。一昨年、大量の犠牲者が出て韓国を揺るがした「セウォル号沈没事故」の犠牲者支援団体が政府批判キャンペーンのため、勝手に設置したものだ。テント数は十数個で、今や窓ガラスや冷暖房付きの事務所風で活動家たちが寝泊まりしている。
野党系の反政府運動のちょっとした拠点になっているため保守派は撤去を要求しているが、野党系のソウル市長はそれを拒否している。政府も内心、大いに迷惑しているが、「セウォル号犠牲者の心情」を看板にした支援団体の主張や世論の同情に気を使い、不法施設なのに撤去できないでいる。
これが大韓民国の表玄関の風景である。日本大使館前の慰安婦像の問題もこの延長線上にある。慰安婦像も支援団体が地元の鍾路区役所の許可なしに、勝手に公道である歩道のブロックを引っぱがしコンクリートを流し込んで建ててしまった無許可施設である。区役所も政府もその無許可、不法ぶりを放置したままなのだ。
韓国外務省は「民間団体が建てたものなのに政府があれこれいえない」などと公式に発言しているが、国家として法治を否定したとんでもない無責任ぶりだ。外国公館に対する“侮辱施設”や至近距離での集会・デモといった“脅威”は国際法でも違法である。
慰安婦像問題の背景には国内での不法・違法の蔓延に加え、日本相手なら何でも許されるという“反日無罪”の無責任感覚がある。
朴槿恵大統領は就任に際し「非正常の正常化」を公約したがこれは国家としての秩序の立て直しのことである。韓国は慰安婦像問題で“放置国家”ではない法治国家としての「国のかたち」を問われている。
(ソウル駐在客員論説委員)
ソウル中心部に光化門広場がある。旧王宮、景福宮の光化門前なのでそういう。景福宮の背後には大統領官邸があり、広場に面しては政府総合庁舎や外務省、米国大使館などがある。米国大使館裏には日本大使館もある。
広場にはその昔、豊臣秀吉軍の侵攻と戦った救国の英雄、李舜臣と、韓国が誇るハングルを制定した世宗大王のでっかい銅像が立っている。2人は文武それぞれの偉人伝中の人物である。したがって光化門広場は韓国を代表する広場であり、ソウルの観光スポットにもなっている。日本でいえば皇居前、米国ではホワイトハウス前といったところだ。
広場の入り口がソウルの東西と南北をつなぐ大通りの鍾路と世宗路の交差点になっている。ここは今は横断歩道があるが以前は地下歩道だけだった。この地下歩道にいつも雑貨やビデオ、CDなどを売る屋台や風呂敷を広げた露天商が座り込んでいる。
外国人の往来も多い韓国の表玄関だけに見苦しい。そこで以前、ソウル市長の記者会見の際、「あれは無許可の路上商売のようだが何とかならないのか?」と質問したことがある。答えは「貧しい生計型の露天商は黙認している」というものだった。実態は荷車で商品を運び込んでいるから生計型より企業型といった印象なのだが、業者の既得権として放置されている。
一方、地上の広場には無許可のテント村ができている。一昨年、大量の犠牲者が出て韓国を揺るがした「セウォル号沈没事故」の犠牲者支援団体が政府批判キャンペーンのため、勝手に設置したものだ。テント数は十数個で、今や窓ガラスや冷暖房付きの事務所風で活動家たちが寝泊まりしている。
野党系の反政府運動のちょっとした拠点になっているため保守派は撤去を要求しているが、野党系のソウル市長はそれを拒否している。政府も内心、大いに迷惑しているが、「セウォル号犠牲者の心情」を看板にした支援団体の主張や世論の同情に気を使い、不法施設なのに撤去できないでいる。
これが大韓民国の表玄関の風景である。日本大使館前の慰安婦像の問題もこの延長線上にある。慰安婦像も支援団体が地元の鍾路区役所の許可なしに、勝手に公道である歩道のブロックを引っぱがしコンクリートを流し込んで建ててしまった無許可施設である。区役所も政府もその無許可、不法ぶりを放置したままなのだ。
韓国外務省は「民間団体が建てたものなのに政府があれこれいえない」などと公式に発言しているが、国家として法治を否定したとんでもない無責任ぶりだ。外国公館に対する“侮辱施設”や至近距離での集会・デモといった“脅威”は国際法でも違法である。
慰安婦像問題の背景には国内での不法・違法の蔓延に加え、日本相手なら何でも許されるという“反日無罪”の無責任感覚がある。
朴槿恵大統領は就任に際し「非正常の正常化」を公約したがこれは国家としての秩序の立て直しのことである。韓国は慰安婦像問題で“放置国家”ではない法治国家としての「国のかたち」を問われている。
(ソウル駐在客員論説委員)
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