東アジア歴史文化研究会のブログ

日本人の素晴らしい伝統と文化を再発見しよう

中村恵子『北方防衛と開拓の魁(さきがけ)』(ハート出版) 旧石器時代から縄文時代前期、北海道と東北が文明先進地域だった「北海道白滝遺跡群出土品」1965点が国宝に指定された

東アジア歴史文化研究会

労作である。主眼は江戸幕府と松前藩をささえ、経済を拡張させた商人たちの奮闘と功績を詳細に調査したもので、北前船による交易が蝦夷と日本列島を結びつけ、その主役は近江商人たちだったという。

松前といえば、戊辰戦争の最終戦場、榎本武揚、土方歳三らの大活躍に短絡しがちである。評者(宮崎)は十年ほど前、まだ新幹線が函館に繋がらない時代に新撰組の取材で松前城と江差の港を別々に見学したことがある。松前の城は建て替えられて優雅な姿、江差では名物の鰊蕎麦に舌鼓を打った。

いまは観光客も少なく、ともに寂れてしまった。

アイヌが北海道の先住民族だというのは真っ赤な嘘である。四万年前からいた縄文人の存在はどうなるのか?
まともな歴史学者ならアイヌは十二、三世紀にオホーツクから漂着した流れ者、ところが江戸幕府は彼らを手厚く扱ったことを知っている。

アボリジニやインディアンとは異なりアイヌは先住民族ではない。ところが国連の曖昧模糊とした定義の隙を突いて、日本の国会はアイヌが先住民族だと可決してしまった。縄文人を貶める愚策である。

主として左翼活動家たちがアイヌ先住民族認定の策動を組織化し、左翼メディアを動員して盛り上げ、この日本国内の騒ぎを見て、ほくそ笑んだプーチンは『アイヌはロシアの先住民族だ』などと歴史事実を無視したことを言いだし、あろうことかこれに呼応した日本人の左翼活動家はアイヌ居住区を「自治区」として認定するようプーチンに要請したという。ここまでくれはきちがいに刃物だ。

さて評者が本書で刮目したのは石器時代、縄文時代の知られざる北海道の先史である。

「令和五年に、三万年から一万五千年前の旧石器時代の黒曜石の石器『北海道白滝遺跡群出土品』1965点が国宝に指定された」。 

国宝指定の由来は「後期旧石器時代前半期の小型剥片石器を主体として石刀技法が顕著な石器群と、同時代後半期の細石刀石器群、およびこれらに優美で精巧なつくりの尖頭器を伴う石器群などに分けられ、後期旧石器時代前半から後半に至る石器の変遷と組み合わせを明瞭に追うことができる。なかでも全長36・2センチの超大型の尖頭状石器をはじめ、多数の木葉形尖頭器、それらの制作にかかわる数百点の剥片・砕片を接合した接合資料・石核、現存最大級の大形石刀等が注目される」とした。

“御宝”がまとめてでたのである。

日本列島には石器時代の遺跡が一万箇所以上あるが、このうち、北海道の遺跡は700ヶ所。質量ともに群を抜くのである。

此の時代、多くが白滝の黒曜石を採取し、作られた石器は遠くシベリア、朝鮮半島から中国北部、北米大陸にまで拡がっていた。

令和三年に北海道東北に散在する縄文遺跡群が世界遺産に登録された。すでに定住生活に入り、特産品の交易が行われていた。国宝となった縄文土偶五体のうちの三体が、これら北海道東北に集中する縄文遺跡から出土した(中空土偶、是川土偶、山形美人)。

つまり文明の最先端地域だった。

『日本書紀』には齊明四年(658年)、大和朝廷は阿倍比羅夫を派遣し、粛慎(みしはせ)を討たせたと記録している。

JR函館本線の余市の南に「比羅夫」という駅がある。但し現在は無人駅、山の中腹には阿倍比羅夫をまつる神社があるが、観光客といえば近くに開けたニセコでスキーを楽しむ。中国資本のタワマンは工事途中で倒産したが。
ともかく歴史改竄は左翼の常套手段である。