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金正恩氏 第1書記に推戴

東アジア歴史文化研究会
金正恩氏第1書記に

●北朝鮮で党代表者会-「国防委員長」が関心の的に
●故金正日氏は「永遠の総書記」

201204131684051l_2北朝鮮の平壌で11日、第4回朝鮮労働党代表者会が開かれ、昨年12月に死去した金正日総書記を「永遠の総書記」に、また事実上の最高指導者として“君臨”している三男の金正恩党中央軍事委副委員長を「第1書記」にそれぞれ推戴した。朝鮮中央テレビなどの国営メディアが一斉に報じた。

党代表者会は、党大会に代わる党の最高意思決定の場で、44年ぶりに開かれた前回の2010年9月以来、1年7カ月ぶりの開催。比較的短期間に2度も開催されたのは、金総書記の健康悪化やその後の死去に伴い、後継者に内定していた正恩氏に権力を早急に掌握させる必要に迫られていたためとみられる。

朝鮮労働党には「第1書記」という職位はないが、党の最高職である「総書記」と実質的に同じとみられる。故金総書記を「永遠の総書記」として立てながら自ら実権を握るための苦肉の策と言える。

同テレビは、「第1書記」推戴を「白頭で切り開かれた主体革命偉業、先軍革命偉業を代を継いで最後まで完成させるわが軍と人民の信念と意志を誇示する一大政治的事変」とし、祖父・金日成主席、父・金正日総書記に続く3代世襲の正統性を改めてアピール。また「永遠の総書記」推戴については「わが祖国を不敗の社会主義政治軍事強国、核保有国として建設した希世の政治元老に対する道徳義理と哀情の表れ」と指摘した。

一方、同テレビはこの日、正恩氏が事実上のナンバー2とされる張成沢党行政部長など党や軍の幹部らと共に金主席、金総書記の遺体が安置されている錦繍山太陽宮殿を訪問したとして、肖像画の前で一礼する様子を伝えた。

正恩氏のすぐ隣には今月7日に人民軍次帥に昇進したばかりの崔龍海党書記が並び、目を引いた。崔党書記は今年62歳。現在の軍の最側近たちは70代が多く、軍幹部の世代交代が背景にある可能性もある。

北朝鮮では13日、最高人民会議第12期5回会議の開催が予定されており、正恩氏が国防委員長などに推戴され、要職を兼任するかどうかが関心の的だ。

<解説>

●遺訓統治で最高位に

北朝鮮は今回の党代表者会で「金正恩党総書記」という大方の予想を裏切り、正恩氏は新たにつくられた「第1書記」というポストに就任、故金正日総書記は総書記として「永遠に奉じ」られるという意表を突く人事を発表した。正恩氏が一挙に総書記にならなかったのには理由がありそうだ。

後継してまだ数年しかたたず権力基盤がもろい正恩氏にとって、党総書記就任は急を要するものだったはず。金総書記が金主席死後、3年間喪に服して総書記に就任したのは、20年かけて築いてきた自らの権力基盤に対する絶対的な自信があったためだとされる。だが、正恩氏にはそうした余裕はなく、焦りがあり、早く最高位に就いて少しでも安心材料を増やしたいところだ。

また、「革命の伝統」を引き継がなければ周囲を屈服させることができないという限界も持っている。長年、住民の中に刷り込まれてきた祖父に対する畏敬の念、父に対する服従心の延長線上に立ってこそ、北朝鮮最高指導者としての正統性が保障される。遺訓統治を利用しなければ水面下でくすぶる権力闘争の荒波にのまれかねない。

今回の人事が「永遠の総書記」と「第1書記」の推戴となったのは、結局、遺訓統治を利用しながら実質的な最高位ポストを手に入れるためだったとみられる。

複数の消息筋によれば、正恩氏は父親に対し礼節を尽くさない言動を見せ、周囲がいぶかることが多々あったという。儒教国・北朝鮮では指導者として致命傷になりかねない。総書記の座を父にささげたのは、そんな反発を押さえ込もうという思惑からかもしれない。