東アジア歴史文化研究会のブログ

日本人の素晴らしい伝統と文化を再発見しよう

「アメリカ大統領選の行方と混沌とする国際情勢を斬る」(宮崎正弘氏講演レジュメ)

東アジア歴史文化研究会
第128回東アジア歴史文化研究会(9月27日)
テーマ「アメリカ大統領選の行方と混沌とする国際情勢を斬る」

宮崎正弘氏講演レジュメ

トランプ熱狂とアメリカの反知性主義
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トランプ現象はなぜ起きたのか

 世界政治はBREXITを軸に「地殻変動」の最中
 ドイツに「ドイツのための選択肢」が第一党に躍進、フランスも「国民戦線」
 東西はNATOの拡大とロシアの反撃に中国の南シナ海支配
「吾々が99%」所得格差への反旗。プアホワイトの不満、移民が元凶と。
 WASPの反乱、反カソリック、アファーマティブ・アクションへの反省
 そして「反グローバリズム(TPP反対、保護貿易)」
 反ワシントン、反エスタブリシュメント 反TPPスローガンは「偉大なるアメリカを再建する」
「反知性主義」とは何か? アンドリュー・ジャクソン大統領との酷似
 雇用の確保、賃金上昇(所得格差の是正)
 富裕層への課税強化、貧困層への減税。不法移民への対応

有力政治家の宗教色分け
 米国聖公会(エピスコバリアン):FDR,フォード、パパ・ブッシュ
 長老派(プレスピテリアン):  アイゼンハワー、トランプ
 バプティスト(洗礼派):    トルーマン、カーター、クリントン(ビル)
 メソジスト:          ヒラリー
 ディサイプルス(禁酒派):   レーガン(カソリックから改宗)
 クエーカー:          ニクソン
 カソリック:          JFK、ブッシュ兄弟(聖公会から改宗)

トランプの闇
ワシントンのアウトサイダー。外交政策への不安
トランプ帝国の実態は名義貸し。「借金王」という影の部分。有利子負債が大きすぎる
マフィア・コネクション
放言癖、暴言修正の限界

アメリカを揺さぶる四大思想
A) 「ジャクソン派」=司令官としてインディアンと壮絶に戦ったアンドリュー・ジャクソン(第七代米国大統領)は、「ユニ・ラテラリズム」(一国中心主義)の信棒者だった。だからトランプはこのジャクソンに比較されるのだ。
 グローバリズムに反対し、米国一国が団結すればそれでいい。だから攻撃されると強く団結し、戦争遂行では相手の無条件降伏以外ないという考え方だ。圧倒的な草の根ポピュリズムに直結しており、「イラクをやっつけろ」が米国世論となってブッシュは突っ走った。9・11テロ事件以後の米国を覆ったのはジャクソン思想である。

B)
「ウィルソン派」=人権、民主主義などの価値を重視するためこれらの理想、米国的価値観を海外へも積極的に拡大しようとする。普遍的イデオロギーを重視するため国益優先ではない。「人権」では中国と衝突を繰り返した。ウッドロー・ウィルソンはあまりに理想が高く国内政治には不向きだった。
 クリントン、オバマ政権の外交政策の基本的性格はこれである。いまの反戦デモに参加している多くのアメリカ人も、このウィルソン派の末裔とみていいだろう。
C) 「ジェファーソン派」=「国内派」で自由も民主主義も米国国内のみで守りたい。海外には過度に関与すべきではないとする考え方。この考え方を代弁するのが「アメリカン・ファースト」を唱えたパット・ブキャナンなど、現時点では少数派である。しかしアメリカ人は孤立主義に陥りやすく間歇的にこうした思想運動が爆発する。トランプの考え方はこのジェファーソン思想とも重なる部分が多い。

D)
「ハミルトン派」=初代財務長官ハミルトンは「大英帝国のような巨大な商業国家となり、経済的繁栄が重要だ」とした。グローバルな制度(WTOやNAFTAなど)に参加すれば米国は富み、繁栄が続く。経済力が大きければ軍事力を維持できるし、最高レベルの武器を開発保有できる。軍事帝国を崩壊させた悪例は真似るべきではない。地域的バランスを取れば良いという考え方。まさにレーガン、ブッシュ政権を支え、ブッシュ・ジュニア政権を支えたアメリカ外交の神髄である。つまりグローバリズム、TPP推進という思想に拡大してきたわけで、オバマ政権の通商政策を背後でささえるウォール街の考え方、これはトランプも局所的には信奉しているが、TPP反対の旗を高く振るなど矛盾したところがある。
 この分析に従えばネオコンはジェファーソン派的思想ながら、ウィルソン的行動をとる。共和党主流のハミルトン的現実主義からは、相当の距離を置いた存在になる。

くわえて共和党には四大派閥がある
 主流 ジョブ・ブッシュ、ケーシック、マルコ・ルビオ、マケインらが率いる保守本流、即ち通商拡大派である。このグループはトランプが撰ばれるような共和党開会はボイコットすると宣言した。さきの分析で言うと「ハミルトン派」ということになる。
 これら保守本流に宗教右派、ネオコンの流れが組んだ「茶会」、ここに保守穏健派の三派が加わり、時にA派、B派が合従連衡、時にC派、D派が呉越同舟となる。ランド・ポールなどは、この区分けからはみ出している。

世界への影響
 南シナ海をめぐる米国の「ピボット」、アセアン諸国の分裂
 BREXITはEU分裂、ユーロ解体への第一歩か 
 中国の台頭をどこまで容認するのか
 オイルダラー、米ドル基軸体制は何時まで維持できるか

日本にどういう影響があるのか
 日米安保条約の見直し、日本の核武装容認?
 TPP反対と保護貿易主義的な考え方は危険なのか?
 防衛論議が本格化するという近未来
 誰がなろうと日本の防衛力増強方向は加速化する

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宮崎正弘氏プロフィール
1946年石川県金沢市生まれ。早稲田大学に学び、「日本学生新聞」編集長、雑誌『月刊 浪漫』企画室長を経て、1982年『もうひとつの資源戦争』(講談社)で論壇へデビュー。その後、問題作を次々に発表。国際政治、経済の舞台裏を独自で情報解析する評論やルポルタージュに定評がある。文芸評論家としての顔もあり、三島由紀夫を論じた『三島由紀夫「以後」』、『三島由紀夫の現場』(並木書房)など三部作は資料的価値が高いと文壇でも評価された。同時に中国ウォッチャーの第一人者として海外にも知られ、中国関連の著書は、『本当は中国で何が起きているのか』(徳間書店)、『迷走中国の天国と地獄』(清流出版)、『中国よ反日ありがとう』(清流出版)、『中国は日本人の財産を奪いつくす!』(徳間書店)、『習近平が仕掛ける尖閣戦争』(並木書房)、『中国バブル崩壊が始まった』(海竜社)、『中国共産党、三年以内に崩壊する!?』(海竜社)、『世界から嫌われる中国と韓国 感謝される日本』(徳間書店)、『「中国の時代」は終わった』(海竜社)、『中国、韓国は自滅し、アジアの時代がやってくる!』(海竜社)『中国大恐慌以後の世界と日本』(徳間書店)など多数。近刊8月31日に『世界大乱で連鎖崩壊する中国 日米に迫る激変』(徳間書店)発売。