大英帝国の栄光と挫折(宮崎正弘国際ニュース早読み)
BREXITで景気停滞かと思いきや
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ロンドンのホテルでこの原稿を書いている。猫の目のように天気は氷雨かと思えば雹(ひょう)に変わる。まるで英国の政局を彷彿とさせてくれる。
昨年のBREXIT(英国のEU離脱)という衝撃は世界の経済秩序への挑戦となった。同時にグローバリズムに対する英国民衆の反撃でもあった。
この反グルーバリズムの動きが欧州全体に拡がり、フランスでオランダでナショナリズム勢力が強くなった。旧東欧諸国は軒並み保守系が政権を握る政治状況となり、昨秋には「アメリカン・ファースト」を強く訴えたトランプが大統領選挙で勝った。
トランプをあれほど警戒したウォール街が株価高騰に転じたのは奇妙でもあり、しかし皮肉にも米国経済の好況を示している。
グローバリズムを真っ先に言い出したのは英国である。
つねに世界の規範モデルを提唱し、その先頭を走り、途中で不都合になると止める。それが英国の歴史的な習性だ。日英同盟を強引に提唱し、日本を巻き込んだかと思うと、不都合になれば、さっさと日英同盟を解消し、あげくに第二次大戦では日本に敵対した。
EUから真っ先に逃げ出すのも英国だ。
金本位体制を提唱し、やがて放棄したのも英国。その金融を支配するのがザ・シティだ。 世界金融はウォール街が支配しているように見えるが、基本的な規範を策定しているのはいまもロンドンのシティである。この点で英国と米国は深く繋がる。
日本の金融業界は銀行も証券も、シティに一大拠点を築いてきた。EUから脱退となれば関税特典などのメリットが失われるからエクソダスが始まり、自動車など日本のメーカーも工場の分散を検討している。米国がTPPからの離脱を表明し、メキシコ進出が無駄となりそうな日本企業の戸惑いがある。
だとすれば、BREXITO以後の英国の現状を見ながら、次に何が起こるのかの予測のポイントを探ろうと筆者はリバプール、チェスターなど英国各地を回った。
驚かされたのはビルの建設ラッシュだ。日本の報道とまったく違う風景である。
産業革命の嚆矢となった蒸気機関の発明も元々は繊維産業の合理化が動機でありEUへの加盟は農産品の輸出拡大が動機だった。
各地をまわって緑豊かな牧草地、隅々まで開梱された田畑を見ると、こんにちの英国は農業大国でもある。
英国は新移民のポーランド系をはじめインド系とナイジェリアなど旧植民地だったアフリカ諸国と香港からの大量移民で外国人労働者だらけである。元気を失いつつあるジョンブル精神に代替するように活発な投資を敢行しているのが中国勢である。
香港の李嘉誠グループも新都心開発、高級住宅地開発で大金を投じている。ロンドンのチャイナタウンの活況と凄まじい投資ラッシュだ。
嘗て七つの海を支配した大英帝国は政治軍事パワーこそ衰退したが、世界の経済ルールを主導するという矜持を失ってはいないと思った。
(この文章は北国新聞「北風抄」5月1日号の再録です)
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ロンドンのホテルでこの原稿を書いている。猫の目のように天気は氷雨かと思えば雹(ひょう)に変わる。まるで英国の政局を彷彿とさせてくれる。
昨年のBREXIT(英国のEU離脱)という衝撃は世界の経済秩序への挑戦となった。同時にグローバリズムに対する英国民衆の反撃でもあった。
この反グルーバリズムの動きが欧州全体に拡がり、フランスでオランダでナショナリズム勢力が強くなった。旧東欧諸国は軒並み保守系が政権を握る政治状況となり、昨秋には「アメリカン・ファースト」を強く訴えたトランプが大統領選挙で勝った。
トランプをあれほど警戒したウォール街が株価高騰に転じたのは奇妙でもあり、しかし皮肉にも米国経済の好況を示している。
グローバリズムを真っ先に言い出したのは英国である。
つねに世界の規範モデルを提唱し、その先頭を走り、途中で不都合になると止める。それが英国の歴史的な習性だ。日英同盟を強引に提唱し、日本を巻き込んだかと思うと、不都合になれば、さっさと日英同盟を解消し、あげくに第二次大戦では日本に敵対した。
EUから真っ先に逃げ出すのも英国だ。
金本位体制を提唱し、やがて放棄したのも英国。その金融を支配するのがザ・シティだ。 世界金融はウォール街が支配しているように見えるが、基本的な規範を策定しているのはいまもロンドンのシティである。この点で英国と米国は深く繋がる。
日本の金融業界は銀行も証券も、シティに一大拠点を築いてきた。EUから脱退となれば関税特典などのメリットが失われるからエクソダスが始まり、自動車など日本のメーカーも工場の分散を検討している。米国がTPPからの離脱を表明し、メキシコ進出が無駄となりそうな日本企業の戸惑いがある。
だとすれば、BREXITO以後の英国の現状を見ながら、次に何が起こるのかの予測のポイントを探ろうと筆者はリバプール、チェスターなど英国各地を回った。
驚かされたのはビルの建設ラッシュだ。日本の報道とまったく違う風景である。
産業革命の嚆矢となった蒸気機関の発明も元々は繊維産業の合理化が動機でありEUへの加盟は農産品の輸出拡大が動機だった。
各地をまわって緑豊かな牧草地、隅々まで開梱された田畑を見ると、こんにちの英国は農業大国でもある。
英国は新移民のポーランド系をはじめインド系とナイジェリアなど旧植民地だったアフリカ諸国と香港からの大量移民で外国人労働者だらけである。元気を失いつつあるジョンブル精神に代替するように活発な投資を敢行しているのが中国勢である。
香港の李嘉誠グループも新都心開発、高級住宅地開発で大金を投じている。ロンドンのチャイナタウンの活況と凄まじい投資ラッシュだ。
嘗て七つの海を支配した大英帝国は政治軍事パワーこそ衰退したが、世界の経済ルールを主導するという矜持を失ってはいないと思った。
(この文章は北国新聞「北風抄」5月1日号の再録です)
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