安倍首相、南シナ海関与強める 沿岸国と連携、中国牽制(産経ニュース)

スプラトリー諸島
衆院平和安全法制特別委員会は5日、中谷元(げん)防衛相と岸田文雄外相が出席し、安全保障関連法案に関する一般質疑を行った。4日ぶりの開催となった特別委で焦点の一つとなったのは、中国による人工島建設で緊迫の度合いが強まる南シナ海への対応だ。同海域はシーレーン(海上交通路)の要衝であり、日本の資源輸入には航行の自由が欠かせない。安倍晋三首相は、法整備を進めるとともに沿岸国と連携し、南シナ海への関与を強めようとしている。
「わが国の周辺海域は常に関心を持っているが、自衛隊は南シナ海で常続的な警戒監視活動は行っておらず、現在、具体的な計画を有しているわけではない」
中谷氏は5日の特別委で、南シナ海での自衛隊の活動への見解を求めた民主党の長島昭久元防衛副大臣の質問にこう答えた。中谷氏は「現在」と断りを入れることで、将来的な可能性に含みを持たせるにとどめたが、南シナ海沿岸国には米国と同様、自衛隊の活動への強い期待がある。
新たな安保法制には、地理的な制約を受けずに自衛隊が他国軍を後方支援する重要影響事態法案を盛り込んでいる。また、首相は南シナ海で起きる武力衝突が「重要影響事態」に認定されることを否定していない。名指しこそしないが、中国に対する牽制であることは明らかだ。
重要影響事態法案は、現行の周辺事態法から地理的制約を外した。後方支援の対象を米軍に限らず他国軍にも広げ、支援内容も拡充する。南シナ海で沿岸国軍を支援できるようになれば、同海域の抑止力を高めることが可能だ。
首相は外交面でも布石を打っている。4日に会談したフィリピンのアキノ大統領のほかにも、3月にインドネシアのジョコ大統領、5月にはマレーシアのナジブ首相をそれぞれ日本に招いた。この海域で建設を進める人工島を軍事拠点化し、上空には「防空識別圏」を設定しようとする中国の「力による現状変更の試み」に対抗するには、日米同盟を基軸とした沿岸国との連携強化が欠かせないと考えているためだ。
首相はドイツ南部のエルマウで7、8両日に開かれる主要国首脳会議(サミット、G7)でも、南シナ海問題を取り上げる。アジア唯一のG7メンバー国として、海洋進出を強める中国への懸念を訴え、首脳宣言への明記を求める構えだ。(峯匡孝、小川真由美)
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