東アジア歴史文化研究会のブログ

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「強欲集団」対「国民共同体」 中国共産党と米巨大IT企業は世界の国民共同体を破壊して、自己の利益を拡大しようとする強欲集団(国際派日本人養成講座)

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世界の未来は日本にかかっている 中国の侵略を阻止せよ! - アンドリュー・トムソン, 山岡 鉄秀

■1.中国の「目に見えぬ侵略」に立ち上がったオーストラリア

アンドリュー・トムソンというオーストラリア人の書いた『世界の未来は日本にかかっている 中国の侵略を阻止せよ!』 という本が出版されました 。

弊誌1170号「中国の『目に見えぬ侵略』」[JOG(1170)]ではベストセラーとなった『目に見えぬ侵略 恐るべき中国のオーストラリア支配計画』をご紹介しましたが、トムソン氏はかつてオーストラリアのスポーツ大臣として、中国から主権を守ろうと戦った一人でもあります。

いまだ「中国の目に見えぬ侵略」に対して立ち上がることのできていない日本にとって、オーストラリアの事例は参考になるものです。今回はトムソン氏の思索の跡をたどりつつ、同国の政策転換について学んでいきましょう。

トムソン氏は1961年、オーストラリアに生まれました。台湾に留学し、メルボルン大学で中国語と日本語を勉強。1995年にオーストラリアで衆議院議員に当選し、同国で初めて中国語を流暢に話し、読むことができる国会議員になりました。

1998年には2年後のシドニーオリンピックを担当するスポーツ大臣に任命され、中国政府と初めて接触を持ちました。その頃、中国の選手が筋肉増強剤などを使っていることが大きな問題となっていました。

まだ国際的な薬物禁止制度がなかった頃で、トムソン氏は大臣としてオーストラリア版アンチ・ドーピング法を導入しました。この法律により、オーストラリアの空港に到着した中国の水泳コーチの荷物を警察が捜索し、大量のステロイドやその他の薬物を発見しました。

このコーチは直ちに中国に強制送還され、2008年オリンピックの北京開催を勝ち取ろうとしていた中国は世界に大恥をかきました。これ以降、中国のドーピングは突然ストップしました。


■2.中国を1930年代のナチスドイツに例える

トムソン氏の中国との真の戦いが始まったのは、2000年に中国が防衛に関する白書を発表した時でした。白書のなかで、中国が台湾との統一を達成するために軍事力の使用を排除しない、と宣言していることに氏は驚愕しました。アジア太平洋地域の平和に明らかな脅威を与えていると感じたのです。

トムソン氏は衆議院で中国政府を激しく批判する演説を行いました。ヒットラーがポーランドとチェコスロバキアを脅かした1930年代のナチスドイツに、中国を例えたのです。すぐに駐豪中国大使から、中国を侮辱したと、トムソン氏を激しく非難する手紙が来ました。

氏の演説に怒った中国政府は、オーストラリアの貿易大臣との全ての会合をただちにキャンセルしました。これは中国共産党によるオーストラリアに対する最初の経済的報復措置で、その発端を作ったのがトムソン氏だったのです。「20年後の今、この論争を振り返ると、私は絶対に正しかったと誇りを持って言えます」と氏は振り返っています。


■3.「オーストラリアの人々は今日立ち上がった」

オーストラリアの政界が中国共産党からの脅威に目覚めたのは、2011年に国会議事堂のメールシステムが大規模にハッキングされた時でした。

「こんな侵略行為をされなくてはならないようなことを、私たちは中国にしただろうか?」と人々は自問自答しました。こちらは友好的に振る舞っているのに、なぜ中国はこんな敵対的な行動をとるのか、とは普通の国民が抱くべき健全な疑問です。

中国はオーストラリアに「超限戦」を仕掛けていたのです。超限戦とは直接的な軍事対決以外に、法律戦、経済戦、ネットワーク戦、テロリズムの全ての手段を使って、相手の力を弱める戦略です。

最終的にオーストラリアを中国との戦いに立ち上がらせたのは、ダスティヤリ事件でした。サム・ダスティヤリは若手の上院議員で、労働党のホープでした。イランで生まれ、4歳の時に両親に連れられてオーストラリアに移住してきました。

ダスティヤリは中国のビジネスマンが集まるパーティーで、オーストラリアは南シナ海での中国の行動に干渉してはならないと述べました。これは労働党の外交政策とは矛盾したものでしたが、何者かがそのスピーチを録画し、2016年9月にメディアにリークされて大騒動となりました。

その過程でダスティヤリが中国の不動産ビジネスマンに借金を肩代わりしてもらったり、多額の寄付を貰っているなど、中国共産党に買収されていることが判明しました。さらにその不動産ビジネスマンの携帯電話がオーストラリアの諜報機関に監視されていることを、密かに本人に漏らしていました。祖国に対する裏切り行為です。

2017年12月、時の首相ターンブルはオーストラリアの政治への外国の干渉を違法化するための包括的な法案「外国影響透明化法」を提出し、「オーストラリアの人々は今日立ち上がった」と対中対決の決心を述べる演説を行いました。


■4.「強欲集団 対 国民共同体の闘い」

トムソン氏は、オーストラリアの人々が立ち上がった動機についてこう述べています。

中国はオーストラリアの最大の貿易相手国です。数十億ドルの国民所得は、中国によるオーストラリア製品の購入によるもので数十万人のオーストラリア人が豪中の貿易関係に依存して収入を得ています。

中国との外交闘争はこれらすべての人々にとって非常に厄介なものですが、中国のサイレント・インベージョンが明らかになった時、保守連合政府はオーストラリアの国家主権をこの攻撃から守るために一瞬も躊躇しませんでした。野党労働党も外国影響透明化法に賛成しました。

それ以来、習近平は容赦なくオーストラリアを制裁し、貿易関係は広く損なわれました。しかし、オーストラリアでは誰も新しい法律の導入を後悔していません。私たちがお金のために主権を犠牲にすることはありません。私たちが中国の属国になることは決してありません。[トムソン、p51]

金か、主権か、という構図は、豪中対立の本質をよく表しています。ダスティヤリに限らず、中国の手先として動く人々は、金のために祖国を売っているのです。[JOG(1170)]

「主権」とは、一国の国民が共同体の主人公として、自分たちの理想を追求できることです。多くの自由民主主義諸国においては、国民の「自由・民主・人権・平等」を理想としています。中国は相手国のなかの一部の強欲な人間を金で釣って、その「主権」を踏みにじり、さらなる金を得ようとしているのです。

その主体は中国という国家ではなく、中国共産党という強欲集団と捉えた方が良いでしょう。中国の国民自体も、この強欲集団によって「自由・民主・人権・平等」を奪われているからです。

豪中対立は「強欲集団 対 国民共同体」の闘いなのです。


■5.アメリカの強欲集団

この「強欲集団 対 国民共同体」の闘いには、アメリカにも参加してもらわなければなりませんが、実はアメリカ自体が中国と連携している別の強欲集団に支配されかかっていることを、トムソン氏は明らかにしています。

GAFA(JOG注: Google、Amazon、Facebook、Apple)をはじめとする大手IT企業と中国共産党との個人的なつながりは広く、深いものがあります。2020年7月、アメリカのウィリアム・バー司法長官は、中国共産党とアメリカの映画産業やハイテク産業を激しく批判する演説を行いました。

最近のハリウッド映画には中国に批判的なものは一切含まれていません。バー氏はマイクロソフト、シスコ、グーグル、アップル、ヤフーなどの企業を指摘し、中国の影響工作の手先と呼びました。[トムソン、p149]

ハリウッドが中国の強い影響下にあることは、熱心なチベット仏教徒で、中国によるチベット抑圧を批判しているリチャード・ギアが、完全に干されている状態を見れば明らかです。

中国は世界第2位の映画市場であり、中国の怒りを買うような作品を作って中国市場から締め出されれば、映画会社は巨大な損失を被ります。ひたすら金を儲けたい強欲なハリウッド人種は中国共産党の見せつける札束に跪(ひざまづ)かざるを得ず、そのためには他国民の「自由・民主・人権・平等」を踏みにじられても頬被り、というわけです。


■6.アメリカの強欲集団がトランプ再選を阻止した

トムソン氏はGAFAと中国のつながりも指摘しています。Google は広告で中国市場から莫大なお金を稼いでいます。Amazon は2018年にはアリババなどの中国企業との競争の結果、中国から撤退しましたが、今でも中国の顧客と巨大なビジネスを行っています。

フェイスブックは多くの技術分野で中国共産党に協力しています。Apple は中国市場で、iPhone、iPad、Mac コンピュータを販売して莫大な収入を得ています。中国市場で巨大な収入を得るためには、中国共産党のご機嫌取りが不可欠なのです。

これらのGAFA企業はいずれも民主党に強い影響力を持っています。「ニューヨーク・タイムズ」や「ワシントン・ポスト」、CNNなどの大手テレビネットワーク、さらにはESPNなどのスポーツチャンネルなど、アメリカの主流メディアも同様です。

ここにツイッターを加えれば、民主党とシリコンバレーが、最近では本質的に一つの巨大なビジネス・政治団体になっていることが分かるでしょう。2020年の大統領選挙では、Facebook と Twitter は積極的に親トランプと反バイデンの話、特にバイデンの汚職に関する新聞報道を検閲しました。[トムソン、p148]

トランプ前大統領は「アメリカ・ファースト」を唱えましたが、これは国民共同体としてのアメリカの国益を守ろうということでした。その敵こそがグローバルな強欲集団だったのです。


■7.中国共産党と巨大IT企業の共通の戦術

こう考えれば、アメリカのほとんどのマスメディアが民主党に肩入れした理由が分かります。肩入れしたのではなく、これらのグローバルな強欲集団が民主党を操り人形としていたのです。彼らは中国共産党というグローバル・パートナーと結託して、国民共同体の再建を進めるトランプを何としても打倒する必要があったのです。トムソン氏はこう指摘しています。

私にとって、2020年の最も衝撃的な光景は、テレビ、新聞、 SNS を含むアメリカ主要メディアの恥ずべき行動でした。民主主義社会において政治的発言の検閲が今では普通であるという現実でした。露骨に民主党を支持した巨大IT企業の行動は、刮目すべき恐ろしいものでした。

民主党は大統領選挙に勝つために、SNSのプラットフォームやインターネット上の検索で検閲を行使しようとしてそのような巨大IT企業を必要としたわけですが、本当の問題はそれらの企業が既に民主党を支配してしまっているかもしれないということです。

検閲とは、人々の発言を制御し、人々が読んだり書いたりできるものを制御することです。そして次の段階は、人の思想を支配することです。中国ではこれが普通に行われています。これまで民主主義国では、言論の自由、思想の自由、信教の自由が社会的価値観として大切にされてきました。

しかし、巨大IT企業が跋扈する「データ国家」の台頭は主権国家を全滅させてしまったようです。[トムソン,p223]

中国共産党もアメリカの巨大IT企業も、最先端の情報通信技術を活用して、人々の目と耳を塞ぎ、洗脳することによって思うがままに操り、自らの強欲を満足させる、という共通の戦術を使っていることがわかります。それはまさしく多くの国民共同体が理想としている「自由・民主・人権・平等」を破壊する行為なのです。


■8.強欲集団は強欲を通じてコントロールする

中国共産党と巨大IT企業の二つの強欲集団は、まさに「前門の虎、後門の狼」とも言うべき脅威を世界に与えています。

その中で、オーストラリアが最大の貿易相手国とあえて敵対している、というところに、「私たちがお金のために主権を犠牲にすることはありません」というトムソン氏の言葉が本気であることが窺われるのです。

どうしてこのようなことが、オーストラリアではできたのでしょうか。そのヒントは「外国影響透明化法」を与野党一致で成立させたところから見てとれます。それまでは中国との「友好」で甘い汁を吸っていた政治家もいたことでしょう。

しかしひとたびダウティヤリ事件で国民が目覚めた以上、今までの親中政策を続けていたら、国民の支持を失って自分の議席が危なくなります。政治家も選挙で落ちたら「ただの人」です。「主権を犠牲にしてはならない」という見識を持たない強欲政治家でも、議席にしがみつくためには、国民の意向に従って反中政策に鞍替えしなければならないのです。

同様に強欲な企業も、その強欲を通じてコントロールする道があります。例えば最近、アメリカでは「ウイグル強制労働防止法案」を審議中ですが、これはウイグル族を強制的に働かせている中国企業との取引を米企業に禁止するものです。米政府から巨大なペナルティを食らうことを避けるためには、ウイグル弾圧とは距離を置かなければなりません。

強欲な政治家は投票を通じて、強欲な企業は利益を通じて、「自由・民主・人権・平等」に反する行動をとらないようにコントロールすることができます。この戦略を取るためには、投票者そして消費者として、主権を持つ国民がどれだけ自らの「自由・民主・人権・平等」への理想をしっかり持っているかが問われます。

我が国では強欲な独裁者に国民が搾取される、という経験をほとんどしたことがなく、また戦後憲法の自虐史観もあって、日本さえ侵略しなければ、外部から侵略されることはあり得ない、という平和幻想を持っています。オーストラリアの事例から学ぶべきは、その国民が自らの「自由・民主・人権・平等」を護ろうという気概なのです。


(文責 伊勢雅臣)

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『世界の未来は日本にかかっている 中国の侵略を阻止せよ!』 アンドリュー・トムソン・山岡 鉄秀

著者
アンドリュー・トムソン (Andrew Thomson)
1961年、オーストラリア生まれ。メルボルン大学法学部、文学部(日本語・中国語)卒業。ジョージタウン大学法学修士号取得。1983年、慶應義塾大学に留学。1986年、北海道大学法学部助手。その後、東京の外資系金融機関で法務に従事。国際弁護士として豪州、米国、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、中国北京などで活動。通商関連の法務に携わる。1995~2001年、豪州連邦議会議員。外務副大臣、スポーツ観光省(シドニー・オリンピック担当)大臣、国会条約審査委員長、豪日国会友好議員連盟会長等を歴任。全英オープンゴルフ5回優勝のピーター・トムソンの長男でゴルフ解説も行う。日本ゴルフ協会外交委員会会員。現在、福岡に在住。妻は日本人。


翻訳・監修者について
山岡鉄秀(やまおか・てつひで)
1965年、東京都生まれ。中央大学卒業後、シドニー大学大学院、ニューサウスウェールズ大学大学院修士課程修了。2014年4月豪州ストラスフィールド市で中韓反日団体が仕掛ける慰安婦像公有地設置計画に遭遇。シドニーを中心とする在豪邦人の有志と反対活動を展開。オーストラリア人現地住民の協力を取りつけ、2015年8月阻止に成功。現在は日本で言論活動中。公益財団法人モラロジー道徳教育財団研究員、令和専攻塾塾頭。著書に『日本よ、もう謝るな! 』(飛鳥新社)、『日本よ、情報戦はこう戦え! 』『新・失敗の本質』(共に育鵬社)、共著に『日本を貶め続ける朝日新聞との対決 全記録』(飛鳥新社)、監訳書に『目に見えぬ侵略』(クライブ・ハミルトン著、飛鳥新社)がある。