東アジア歴史文化研究会のブログ

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タリバンと「怒りのアフガン」 ソ連も米国も支配できず撤退…中国も失敗の歴史を繰り返すのか (高橋洋一 日本の解き方)

東アジア歴史文化研究会

2021.8.24
勝利宣言した反政府武装勢力タリバンの戦闘員ら(AP)

イスラム原理主義勢力タリバンがアフガニスタンで政権を掌握した。米国は駐留軍の撤退を決め、中国はタリバンに接近している。こうした状況で国際情勢はどう変化するだろうか。

アフガニスタンというと、1988年のシルベスター・スタローン主演の映画「ランボー3/怒りのアフガン」を思い出す。その映画は、ソ連(当時)によるアフガニスタン支配をベトナム帰還兵のジョン・ランボーが打倒するというものだ。

ランボーを案内するアフガン人は「アフガニスタンには、昔、アレクサンダー大王、チンギス・ハンがやってきて、さらにイギリス、今やソ連だ。でもアフガン人は負けない」と語る。ソ連部隊の捕虜となった米軍将校トラウトマンは「母国のために死ぬことを恐れない人がいる国は征服できない。我々はそれをベトナムで体験した」とも言う。ランボーらは絶体絶命になりながらもアフガン戦士らに助けられてソ連軍を打ち破り、「この映画をすべてのアフガン戦士たちに捧げる」という文言が出る。

実際の歴史はさらに面白い。この映画の製作後、ソ連はアフガニスタンに負け、撤退せざるを得なかった。その後、ソ連そのものが崩壊した。

米国が支援し、映画で英雄だったアフガン戦士は内紛に陥り、サウジアラビア出身のテロリスト、ウサマ・ビンラーディンや、今回のタリバンを生み出した。

そして今度はタリバンが米国を追い出すことになった。アレクサンダー大王、チンギス・ハン、英国、ソ連、そして米国にもアフガニスタンは負けなかった。今や中国がアフガニスタンに手を伸ばそうとしている。歴史は繰り返すというが、中国もアフガニスタンを支配しようとすると、手痛いしっぺ返しを食らうだろう。

米国の撤退について、20年かけても民主主義が根付かなかったという落胆がある。ただし、アフガニスタンの長い歴史からみれば、そんな短期間で変わるはずがないともいえる。

短期的には中国がアフガニスタンへの影響力を強め、地下資源を利用するかもしれない。ソ連が10年、米国が20年で追い出されたので、中国はそれらの経験に学んだとしても20~30年で歴史は繰り返されるのではないか。

たしかに民主主義はアフガニスタンでうまく機能しなかったが、全体主義もソ連支配時代でダメだった。アフガニスタンは、短期的には民主主義も全体主義も受け入れないのかもしれない。外国が干渉しないのが、アフガニスタンにとって最もいいことなのだろう。

米国はアフガニスタンから撤退後、対中国で全体主義への対抗に力を注ぐだろう。これは、米国と同じ民主主義陣営の日本としては悪いことではない。

米国は、自国のシェール産出で「産油国」並みになっているので、かつてほど中東などの資源国に関与すべきことが減っていることも、今回の撤退方針の背景にある。


(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)