再増税阻止チャンスは一度! 針の穴に糸を通すような困難
2015.09.11
国内外の経済環境に不透明感が増しているが、2017年4月の10%への消費再増税はどのようにすれば止められるのだろうか。
まず、現状をきちんと理解しておくと、民主党時代に制定された消費増税法はまだ生きている。その中で、17年4月からの消費増税は既に法定化されている。
昨年12月の衆院選で、安倍晋三政権は今年10月から予定されていた10%への消費再増税の実施時期を17年4月に延期した。これがなければ、今頃は日本経済が奈落の底に沈む寸前にいたかと思うと、衆院を解散してまでも延期したのは正解だった。
延期の際、景気情勢によって増税を停止できる「景気条項」を削除した。その解釈として、「景気がどうなっても消費再増税する」という話が流れたが、まったくの事実誤認である。
これまでに本コラムでも指摘したが、そもそも消費増税法の付則であった景気条項は、消費増税を止めるためにはまったく役立たないものだった。
政権運営に不慣れな民主党議員に対して、「景気条項があれば、増税を止められる」との説明も一部にあったようだが、それは事実ではない。景気条項を使っても、新たに法案を出す必要があり、それが政治的に困難だからだ。
昨年12月の衆院選がなければ、消費再増税は延期できなかったというのが事実だ。あの段階で、もし安倍首相が「増税を止めるための法案を作ろう」と言ったら、政局になって首相の座から引きずり下ろされただろう。そうした政局の動きを封じるために、衆院議員は全員クビというのが解散・総選挙であった。景気条項の有無は、消費再増税をスキップするための政治的な意味はまったくない。
重要なのは、国政選挙で、どのような公約を掲げて、選挙に勝つかという点だ。昨年の衆院選では、消費増税スキップを公約として自民党が勝ったので、それが実現された。17年4月からの消費再増税を止めるには、遅くとも16年9月までに、意思を固めて国民の審判を受ける必要がある。その審判とは16年7月の参院選である。
ただし、通常のように悠長に公約作りをしながらであると、財務省がつぶすだろう。それを封じるには、その時、衆院を解散してダブル選挙にした方が、成功する確率は高くなる。そこが唯一のチャンスである。
一方、消費税が争点にならなければ、今の法律通りに17年4月から消費再増税になる。もし、その時の経済状況からみて延期がふさわしく、選挙の争点にして勝利すれば、消費再増税は延期される。逆にいえば、この一点しか延期される可能性はないだろう。この意味で、消費再増税を止めるのは、針の穴に糸を通すようなものだ。
このタイミング以外で政治的に仕掛けても、政治巧者の財務省が各方面へ根回しすることで、もくろみは不発となるだろう。財務省はマスコミ、財界、学会、海外などへ大きな影響力もあるので、侮ってはいけない。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
国内外の経済環境に不透明感が増しているが、2017年4月の10%への消費再増税はどのようにすれば止められるのだろうか。
まず、現状をきちんと理解しておくと、民主党時代に制定された消費増税法はまだ生きている。その中で、17年4月からの消費増税は既に法定化されている。
昨年12月の衆院選で、安倍晋三政権は今年10月から予定されていた10%への消費再増税の実施時期を17年4月に延期した。これがなければ、今頃は日本経済が奈落の底に沈む寸前にいたかと思うと、衆院を解散してまでも延期したのは正解だった。
延期の際、景気情勢によって増税を停止できる「景気条項」を削除した。その解釈として、「景気がどうなっても消費再増税する」という話が流れたが、まったくの事実誤認である。
これまでに本コラムでも指摘したが、そもそも消費増税法の付則であった景気条項は、消費増税を止めるためにはまったく役立たないものだった。
政権運営に不慣れな民主党議員に対して、「景気条項があれば、増税を止められる」との説明も一部にあったようだが、それは事実ではない。景気条項を使っても、新たに法案を出す必要があり、それが政治的に困難だからだ。
昨年12月の衆院選がなければ、消費再増税は延期できなかったというのが事実だ。あの段階で、もし安倍首相が「増税を止めるための法案を作ろう」と言ったら、政局になって首相の座から引きずり下ろされただろう。そうした政局の動きを封じるために、衆院議員は全員クビというのが解散・総選挙であった。景気条項の有無は、消費再増税をスキップするための政治的な意味はまったくない。
重要なのは、国政選挙で、どのような公約を掲げて、選挙に勝つかという点だ。昨年の衆院選では、消費増税スキップを公約として自民党が勝ったので、それが実現された。17年4月からの消費再増税を止めるには、遅くとも16年9月までに、意思を固めて国民の審判を受ける必要がある。その審判とは16年7月の参院選である。
ただし、通常のように悠長に公約作りをしながらであると、財務省がつぶすだろう。それを封じるには、その時、衆院を解散してダブル選挙にした方が、成功する確率は高くなる。そこが唯一のチャンスである。
一方、消費税が争点にならなければ、今の法律通りに17年4月から消費再増税になる。もし、その時の経済状況からみて延期がふさわしく、選挙の争点にして勝利すれば、消費再増税は延期される。逆にいえば、この一点しか延期される可能性はないだろう。この意味で、消費再増税を止めるのは、針の穴に糸を通すようなものだ。
このタイミング以外で政治的に仕掛けても、政治巧者の財務省が各方面へ根回しすることで、もくろみは不発となるだろう。財務省はマスコミ、財界、学会、海外などへ大きな影響力もあるので、侮ってはいけない。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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