東アジア歴史文化研究会のブログ

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豪・印に懸念材料 QUAD首脳会談 「親中の歴史」豪労働党への不信で亀裂も 経済制裁に参加せず密接なインドとロシア

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「『台湾有事』にならないよう、中国にしっかりとしたメッセージを出していかなくてはならない」

バイデン氏は日米首脳会談で、岸田首相にこう語りかけたという。

共同記者会見での、バイデン氏による「台湾防衛への軍事的関与」発言について、ホワイトハウス当局者は政策変更を否定しているが、米歴代政権の「あいまい戦略」からの転換を示唆したと言えそうだ。

クアッド首脳会合に臨む(左上から時計回りに)バイデン米大統領(AP)、岸田首相、アルバニージー豪首相、モディ印首相
クアッド首脳会合に臨む(左上から時計回りに)バイデン米大統領(AP)、岸田首相、アルバニージー豪首相、モディ印首相

岸田首相も共同記者会見で「台湾有事」について問われ、「アジアで平和と安定が守られるために、日米同盟を強いものにしていかなくてはならない」と力を込めた。

こうしたなか、クアッド首脳会合が24日に開催される。「日米豪印の結束強化」が注目されるが、懸念もある。

まず、オーストラリアでは21日投開票の総選挙で、アンソニー・アルバニージー党首率いる野党・労働党が、与党・保守連合を破った。アルバニージー氏は23日、首都キャンベラで首相に就任し、クアッド首脳会合参加に向けて日本へ出発した。

アルバニージー氏は「(新政権にとって、首脳会合参加は)絶対的な優先事項だ」と記者団に強調しているが、労働党は歴史的に「中国に融和的」である。

1972年に、オーストラリアと中国との国交を結んだ際の与党で、経済の連携強化を進めてきた。2017年には、南シナ海問題などで中国寄りの発言を繰り返していた労働党上院議員(当時野党)が、オーストラリアで事業を行う中国人富豪に公安情報を漏らしたとして辞職を表明した。上院議員は富豪から政治献金を受けていたとされる。

現在の労働党は、基本的に人権問題や覇権的な海洋進出で中国に批判的だ。ただ、党出身の重鎮であるポール・キーティング元首相は昨年11月、台湾有事は「オーストラリアの重要関心事ではない」と公言し、「中国はオーストラリアにとって脅威ではない」とも発言している。

労働党政権が誕生したオーストラリアをどう分析するか。

福井県立大学の島田洋一教授は「クアッドができる前、労働党政権下で日米豪印の会議が行われた際、インドの高官から『会議の内容がオーストラリアを通して中国に抜けている』という指摘を聞いたことがある。労働党政権の誕生で、インド側に不信が再燃すればクアッドに亀裂が走る要因にもなる」と指摘する。

これに対し、拓殖大学海外事情研究所の川上高司教授は「労働党政権はかつて、『親中』的な姿勢を見せていただけに警戒すべきだ。ただ、オーストラリアは、米国と英国との安全保障枠組み『AUKUS(オーカス)』に参加している。まさに集団的安全保障体制であり、簡単には抜けられない」とみる。

実は、インドにも懸念がある。

インドは伝統的に「非同盟」の立場をとり、クアッドは非軍事分野での協力が中心だ。ウクライナ侵攻を続けるロシアに対してもインドの立場は消極的で、経済制裁には参加せず、対ロシア貿易を継続している。

そもそも、インドは旧ソ連時代から軍事面でロシアとの関係が密接だ。2016~20年のインドの武器輸入を見ると、約半分をロシアが占めている。ウクライナ侵攻後、西側諸国は相次いでロシアとの貿易を停止したが、インドは逆で石油輸入量が急増した。

前出の島田氏は「クアッドは、あくまで『対中包囲網』としての枠組みだという割り切りが必要だろう。ロシアとの関係は気になるが、中印関係は緊張状態にあり、この点では一致できる」と語る。

川上氏も「煮え切らない態度のインドを、どう西側諸国に引き付けるかもクアッドの意義だ。ウクライナ情勢をインドがどう見極めるかもポイントで、『ロシアが弱体化し、西側諸国に分がある』とみれば、インドも協力的な姿勢を見せるだろう」と語った。