「国際カント会議」がロシアの飛び地カリニングラードで開催される しかも言い出したのが、ウラジミール・プーチン大統領とは、これ如何に(宮崎正弘国際情勢解題)
ロシアの飛び地・カリニングラード。ここへ行くにはリトアニアから鉄道もあるが、モスクワからの直行便が便利だ。リトアニアのクライペダは同国唯一の港湾都市でバルト海に面している。この一帯が琥珀海岸と言われ、カントも思索時に逍遥した。カントの時代、ここもプロイセン領土だった。
カリニングラードが、かの『純正理性批判』の思想家イマヌエル・カンドの生誕地である。もっとも三百年前にカントが生まれたときは東プロイセンのケーニヒスベルグで、カントは馬具商人の息子、生涯独身だった。
ロシアが、「国際カント会議」を開催するのは僭越の気がするが、2024年4月22日からカントの生誕地であるカリニングラードで開催される。ドイツは先を越された?
このイベントの発案者はプーチン大統領だ。世界各国から数十人の哲学者が参加を表明しているらしい。ロシア科学高等教育省とカリニングラード州政府が主催し、事務局はカント・バルト連邦大学(BFU)におかれるという。
カントの影響を多大に受けた日本の哲学者には天野貞祐、高坂正顕(高坂正業の父)ら無数にいる。現在のカリニングラードは琥珀の街として有名で、欧州からの観光客で溢れていたが、コロナ禍、ウクライナ戦争とひき続いたため世界的に有名は琥珀博物館に見学者もまばらとなった。日本の琥珀産地は岩手県久慈市だけである。久慈市はクライペダと姉妹都市関係がある。
カントの認識論と道徳哲学の分野における思想は時代を超えた重要性を持ち、人類の知的財産の中で重要な位置を占めると評価された。カントの知的探求は、彼の時代の痕跡を残し、伝統的な価値観、古典的な倫理、道徳、キリスト教の信仰に向けられた。
カントの墓はケーニヒスベルク大聖堂の裏手にあり、外壁がカント廟となっている。
墓碑銘はラテン語で「我が上なる星空と、我が内なる道徳法則、我はこの二つに畏敬の念を抱いてやまない」とある。筆者もこの廟に花束を捧げたことを思い出した。
同行したのは高山正之、宮脇淳子、福島香織、鵜野幸一郎、尾崎梓の各氏だった。行きと帰りはモスクワ宿泊となり、戦争前の平和な雰囲気に溢れていたモスクワ各所を歩き回った。
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