東アジア歴史文化研究会のブログ

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田村秀男『米中通貨戦争』(育鵬社) 米国は中国経済をひねり潰せるのだが、なぜ実践しないか バイデン汚染政権は中国に大甘、人権民主など本音はどうでもよいのだ

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バイデンの米国が中国を締め上げる武器は、それも致命傷を与える武器は香港ドルと米ドルの交換停止である。この点に関しては評者(宮崎)と田村氏の一連の共著でも強調したことなので詳しくは置くが、なぜバイデンが、この処置が取らないか。

第一にバイデンという個人は、金が大好きな政治家であるということ。息子が外国から天文学的な賄賂を得ていたが、あれも受取口座が息子だっただけである。

第二にウォール街が『返り血』を懼れていることだ。このウォール街がバイデンに裏から圧力をかけ制裁を手抜きにしている。

第三にウクライナ侵略の本質とは米中の通貨戦争の代理であること、中露は明確にドル基軸態勢に挑戦しており、局部的にドルの威光が失われた。

通貨が古今東西、世界覇権の確保で決定的な要素だった。

「絶大な軍事力だけでは足りず、通貨覇権あってこそ世界の中心となる帝国となる」と田村氏は基点をのべる。

すなわち「米中対決が軸となる21世紀型覇権戦争とはカネ vs モノと通奏低音とし、その基調のうえで貿易とハイテク、金融、外交軍事が複雑に絡み合う相克劇であり、時空にかぎりない消耗戦が展開される。モノは工業製品とその技術、エネルギー、食糧、希少資源、半導体などが鍵である。通貨、すなわちドルと人民元はこれら各分野を巻き込みながら絡み合う絆である」(14p)

トランプ前政権は中国経済のアキレス腱をついた。

ドルが中国に乱舞し、中国の軍事力向上にも貢献しているのであれば、ドルを中国市場から押し出す政策をとれば良いのだ。トランプは動いた。

金利上げと株高が演出され、ドルは中国から脱出をはじめた。中国は外貨準備を減らし、実質的に中国は対外債務国である。つまり中国の外貨準備は『カラ』である。

中国から資金流出は2017年第四四半期に2895億ドル、半年前の二倍だった。ウォール街の株価は1200ドル高騰し、あわてふためく中国は海外旅行を制限し、持ち出し外貨に上限を設け、日本などで注目された「爆買い」を禁止した。

その一方で「銀行融資を急増させて不動産相場の下支えや地方政府のインフラ投資の後押しに躍起となったが、結果は地方政府や企業債務の膨張、即ち人民元マネーバブルであり、暴落不安がつきまとう」(45p)

もっとも重要なポイントは以下である。

トランプは中国を追い込んでいた。

2019年には「香港人権民主法l」を成立させた。このなかに「状況次第で香港ドルと米ドルの交換を禁止できる条項を関連法に盛り込んだ」

その後、2020年7月には『香港自治法』を成立させトランプが署名、発効させている。この法律は「米国務省は香港の自由や自治を侵害した個人や団体を特定しドル資産の凍結などの制裁を行える。(中略)ところが対中投資で荒稼ぎする米金融資本をバックにするバイデン政権はトランプ政権の対中制裁路線を継承しそうにない。その気がまったくない」(92p)。

だから習近平はせせら笑って強気に出る。ようするにバイデン大統領は無策無能である。

さて中国はウクライナ戦争でロシアを弟分と見下すようになりBRICSコインなどと騒ぎ、デジタル人民元を言いつのる。

デジタル化を急いだのは偽札対策だった。中国のキャッシュレスは猛スピードで進捗し現金決済は5%あるかないかとなった。これで偽札対策はうまくいった。

しかし人民元はもともと中国人民の信用のない通貨なので「上に政策あれば、下に対策あり」の国民性だから、ビットコインやゴールド投資に群がり、また日本等のマンション購入に走る。

アリペイとウィチャットの支払いは継続拡大していて、政府推奨のデジタル人民元の普及は計画通りには進んでいないのが現実である。

またIMFの通貨バスケットに人民元は認められたが、つかい勝手が悪く、サウジなどとの石油決済人民元建ては、中国がせっついてもサウジはポーズこそ前向きだが、本心では笑っているだけなのである。