東アジア歴史文化研究会のブログ

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安倍・プーチン会談と北方領土 ロシア経済悪化がチャンスに 問われる外交力

東アジア歴史文化研究会

2015.10.03

ロシアのプーチン大統領(右)と握手する安倍晋三首相=28日、ニューヨークの国連本部(共同)

日露首脳会談が開かれ、北方領土問題の交渉前進へ対話を継続することで合意したと報じられた。プーチン大統領の訪日も焦点となっている。

ロシア経済は、先進国型資本主義ではなく、中進国型半官半民だ。かつての高度成長前の日本経済にも似ている。

輸出主導で原油・天然ガスに大きく依存している。原油価格が低下すると輸出が伸びずに、国際収支バランスが崩れて通貨安が起き、インフレ・金利高を誘発、国内経済を低迷させる。つまり資源価格が低下すると、国際収支が制約になってロシア経済が悪化する構造だ。

もともと米国でのシェール革命によってエネルギー価格が低くなっていたことに加えて、中国経済の低迷が資源価格を低下させたことが大きな打撃となっているのだ。

今のロシアは経済苦境にあるので、日本の経済協力が欲しいところだろう。日露首脳会談で、安倍晋三首相は北方領土問題を持ち出したが、プーチン大統領はそれに応じないで、経済協力の話をしたと伝えられている。

ただ、会談の最後の10分間は、同行者を外して安倍首相とプーチン大統領だけの差しの会談にしている。この間の話の内容は、外部からはうかがい知れないが、安倍首相は「プーチン大統領と自分の任期はあと3年あるが、その間に北方領土問題で互いに納得できる状態にしよう」という趣旨の話をしているはずだ。

ロシアの国内事情を考慮して、首脳会談で正式に話していないという格好をとっただけ。安倍首相が冒頭のあいさつで「自分の任期は3年あるので、日露平和条約交渉に臨む素地はできた」と発言しているのは、最後の10分間の差しのトップ交渉への布石に違いない。

日露平和条約を結ぶのは領土問題の解決が前提であるが、そのためには「日本ができる経済協力は何でもやる」といった程度の話はしているだろう。その上で、年内のプーチン大統領の訪日を要請したはずだ。

プーチン大統領が訪日するかどうかは、最近相次いでロシアの閣僚が北方領土を訪れて実効支配の既成事実作りを始めているうえ、ロシア国内の情勢が予断を許さない状況もあって、やや不確定である。

ただし、来年には日本でサミットが開催されるので、そこにプーチン大統領を招くという手も残されている。年内のプーチン大統領の訪日が難しければ、来年のサミットという二段階で、柔軟に考えているだろう。

ここで、ポイントになるのが米国の動向だ。ウクライナ問題で米国とロシアは対立しているし、シリア問題でも、米国は反政府勢力を支持し、ロシアはアサド政権支持と、対立している。米国は、同盟国の日本がロシアと接近することを好んでいない。ただし、日本も米国頼みでは、北方領土の解決はできないため、外交力が問われている。

(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)