朴大統領は慰安婦問題を棚上げすべきです(呉善花・拓殖大学教授)

2015.10.31
朴大統領は、そろそろ目を覚まさないのか
安倍晋三首相と、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領による就任後初の日韓首脳会談が11月2日、ソウルで行われる。朴氏はこれに先立ち、朝日新聞と毎日新聞の書面インタビュー(30日朝刊)に応じ、慰安婦問題の「今年中の決着」を求めたが、多くの日本人はウンザリするのではないか。拓殖大学国際学部の呉善花(オ・ソンファ)教授が、朴氏や祖国への思いを緊急寄稿した。
日韓首脳会談にあたって、朴大統領に何よりもお伝えしたいことは、「慰安婦問題に固執する限り、日韓関係は決して進展しない」ということです。なぜかといえば、日本には韓国の主張を受け入れる理由が一切ないからです。
第1に、韓国が主張する「日本軍が組織的に20万人の女性を強制連行して性奴隷にした」という事実は一切ないというのが日本政府の認識です。第2に、政府レベルの法的賠償については「1965年の日韓基本条約で解決済み」というのが日本政府の揺るぎない立場です。
ですから、「慰安婦問題に関して日本の首相が公式に謝罪する」ことも、「日本政府が元慰安婦に賠償金を支払う」ことも、韓国がいかに強く求めようとも実現することはあり得ません。この現実認識を、きっぱり固められることが肝心だと思います。
それでは、韓国はどうすればよいのでしょうか。それはとても簡単なことです。慰安婦問題をひとまず棚上げして会談に臨むこと、これにほかなりません。
ある問題で互いの原則が衝突し、このままでは他の必要な諸問題について話を進めることが困難となったとき、多くの日本人はどうするでしょうか。その問題をいったん棚上げして考えが合うところから話し合いを進めていこうとするのです。
外交についても同じことなのです。かつての日韓両国は、そのようにして外交関係を比較的良好に進めてきたことを、深く心にお留めいただきたいと思います。
ご存じのように、今年5月にソウルで開かれた日韓経済人会議で、韓国代表は「両国が1つの経済圏を形成し、ともに成長、共同繁栄の時代を構築すること」を提案しました。「ポスト中国主導経済圏」を明確に見すえた発言であるのは明らかでしょう。
会議では、この提案を受けたかたちで、「金融面での日韓通貨スワップ協定の復活」や「貿易面でのTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への韓国加入」「日中韓自由貿易協定(FTA)の早期締結」を求める共同声明を採択しています。
また、「日韓の交通カード・銀行カードの連携など、情報通信技術分野での協力拡大」や、「2018年平昌(ピョンチャン)冬季五輪・2020年東京五輪開催に向けて相互協力」に努めることも合意しています。
これらの課題を実際的に推し進め、両国の共同繁栄を計っていくためには、韓国政府の「慰安婦問題への固執」と「中国重視・日本軽視」政策は、何にも増して大きな障壁となるほかありません。
そのことを十分に踏まえて、来るべき日韓首脳会談に臨まれることを強く要望いたします。
■オ・ソンファ 1956年、韓国・済州島生まれ。83年に来日し、大東文化大を卒業後、東京外語大大学院の修士課程修了。現在は拓殖大学国際学部教授。日本に帰化。2013年7月、親戚の結婚式出席のために韓国へ入国しようとして入国拒否された。著書・共著に『スカートの風』(角川文庫)、『日韓 悲劇の深層』(祥伝社新書)など多数。
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