東アジア歴史文化研究会のブログ

日本人の素晴らしい伝統と文化を再発見しよう

【日本を守る】「9条」だけで平和は守れない(加瀬英明)

東アジア歴史文化研究会

2015.09.15

国会周辺で、安保法案に反対する人々
★(1)

私は、安全保障関連法案の審議が続く国会のまわりを訪れるごとに、反対派の人々の、のぼりやプラカードを見て、「アホ」と思った。

「日本は戦争をしないと誓った国」「戦争反対」「戦争はゴメンだ!」といった、のぼりやプラカードだが、行くべき場所を勘違いしている。国会ではなく、東京・元麻布の中国大使館の前で気勢をあげるべきなのだ。

中国の習近平国家主席は「5000年の偉大な中華文明の復興」を「中国の夢(チュングオモン)」として煽って、しばしば公的な場において、「戦争の準備を進めよ」と命じている。

中国の発表によっても、毎年、国防支出を世界のどの国よりも大きく増している。一体、日本政府と中国政府のどちらが、戦争熱に憑れているのだろうか。

162年前にペリーが黒船を率いて江戸湾にやってきたときに、もし、浦賀の海岸に「日本は戦争をしないと誓った国」というのぼりを立てて迎えたとしたら、米国によってたちまち侵略されて、後に米国がフィリピンを奪ったときのように、抵抗した数十万人か、数百万人の国民が虐殺されていただろう。

120年前の日清戦争、110年前の日露戦争にあたって、「戦争反対」といっていたとしたら、日本が中国のチベット、ウイグルになったか、ロシアによる支配を受けていたはずだ。

反対を叫ぶ人々は怠惰だから、日本の幕末からの苦難の歴史を、まったく学んでいないのではないか。

日本に“平和憲法”という「呪(まじな)い札」があるからといって、世界の弱肉強食のあり方が、ちょっとでも変わるわけではない。

平和憲法は、平和をもたらしてくれない。そんなに「第9条」が素晴らしいものなら、中国の脅威を切実に蒙っている、インドからフィリピンまでの諸国が競って改憲して、「第9条」を採用していたに違いない。

ウクライナ憲法に「第9条」があったとしても、ロシアが2014年に白昼、ウクライナからクリミア半島を奪い取るのを、阻止できなかったはずだ。ロシアは軍服から記章をはぎ取った部隊を、民兵として偽装して、クリミアに乱入させた。

東西冷戦が終わってから、1994年に米国と英国はロシアとともに、万一、ウクライナが侵略されたら、軍事的に守ることを保証する合意文書(ブダペスト覚書)を交わしていた。

ところが、米国も、英国も腰が引けて、動かなかった。

■加瀬英明(かせ・ひであき) 外交評論家。1936年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、エール大学、コロンビア大学に留学。「ブリタニカ百科事典」初代編集長。福田赳夫内閣、中曽根康弘内閣の首相特別顧問を務める。松下政経塾相談役など歴任。著書に『アメリカはいつまで超大国でいられるか』(祥伝社新書)、『大東亜戦争で日本はいかに世界を変えたか』(ベスト新書)など多数。