イランの反政府運動は影も形も見えない 民衆の蜂起がなぜおきていないのか?(宮崎正弘国際情勢)
トランプとネタニヤフがひそかに「期待」したイラン民衆の反乱は、まだ起きていない。いや、反政府運動が組織されておらず、指導者が不在で米国に亡命したパーレビ皇太子を担ぎ上げているが、イランに潜入するほどの部隊はない。
そもそも民衆蜂起などと無責任なシナリオを誰が描いたのか?
開戦前、モサドの長官は、ベンヤミン・ネタニヤフ首相に一つの計画を持ちかけた。「開戦から数日以内に、モサドはイランの反体制派を鼓舞し、暴動やその他の反乱行為を引き起こし、ひいてはイラン政府の崩壊にまで至る可能性がある」
このアイディアはCIAも前向きになって、「ネタニヤフ首相とトランプ大統領はともに楽観的な見方を示していた。紛争勃発直後にイランの指導者を殺害し、その後政権交代を促すための情報活動を展開すれば、大規模な民衆蜂起が起こり、戦争の早期終結につながる可能性があると考えていた」(ニューヨークタイムズ、3月22日)
イランの神権政治体制は弱体化しているものの、依然として存続している。張り巡らされた監視体制、密告制度、そして軍隊と警察に対する恐怖心がある。そもそも民衆は武器を持たず、お互いの聯絡を取ろうにも通信は厳重に規制されている。まさに中国の監獄状態をおなじ全体主義国家であり、綻びは各所でみられるのもの、もし反乱を起こすとすれば数千、いや数万の血の犠牲がでるだろう。
CIAは「アメリカとイスラエルが爆撃を行っている間、イラン国民が抗議のために立ち上がることはないだろう。神権政治体制を脅かす大規模な民衆蜂起が内戦を引き起こすとは考えられない」としていた。
モサドの計画の詳細は多くが秘密にされているが、その一つには、イラク北部を拠点とするイラン系クルド人民兵組織による侵攻を支援することが含まれていた。
モサドはクルド人グループと密接な関係があり、CIAとモサドはクルド人勢力に武器供与などの支援を行ってきた。しかし、「クルディスタン愛国同盟」のバフェル・タラバニ党首は、「そのような計画は一切ない」と否定した。戦争初期の攻撃や暗殺の後、民衆蜂起は起こらなかった。
このブログへのコメントはmuragonユーザー限定です。