東アジア歴史文化研究会のブログ

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王岐山系の「海航集団」は本当に経営危機に陥っているのだ 無視しがちな細かなニュースを拾い、米中貿易戦争の実態に迫る 『米中関係が決める5年後の日本経済』渡邊哲也著(PHP新書)

東アジア歴史文化研究会

日本のメディアが中国で起きている事態を、表層の出来事しか報じないため、近未来の像がつかみにくい。情報があふれているようで、じつは印象操作と情報の偏りがあり、判断を迷わせやすいのである。

細かな事態の推移を冷静に見つめていくと、米中経済摩擦の先行きが読めるようになり、本書で指摘されている数々は示唆的である。

なかでも評者(宮崎)は次の二点に注目した。
第一は交渉術の脅しに中国が「米国債を売却するぞ」と言ったら、市場は大混乱し、米国債は暴落するという、根拠の薄い観測への否定である。

渡邊氏はこう言う。
「アメリカには1977年に施行された国際緊急経済権限法という法律があります。これは、安全保障、外交政策、経済に関して重大な脅威が生じた際に、非常事態宣言後、金融制裁によりその脅威に対処できる」

また911テロ事件以後、アメリカは「愛国者法」を成立させた。外国の「脅威となる行為を制限し、資産を凍結したり、没収できる」。ために「米国債はアメリカの法律に従い発行されており、これらの法律の対象になります」(52p)

つまり「アメリカが米国債売却を理由に中国のいいなりになる可能性は限りなく低い」ということである。

もう一つが王岐山の親せきが経営する「海航集団」のことである。

つい先週もアメリカのファンドを買収しようとして「外貨制限」を理由に中止したが、表向きの理由はともかく、海航集団委はドル資金が欠落しているのである。

なぜならアメリカ進出ならびに米企業買収資金として、同集団はアメリカドル建ての債券を発行した。これが「2017年夏に事態は一変、バンクオブアメリカをはじめあらゆる投資銀行が、ガバナンスの問題があるということを理由に取引を中止した」(133p)のである。

すなわち「アメリカの金融機関が米ドル調達のパイプを閉めてしまえば、アメリカで展開している(中国の)企業のほとんどが成立しない」(134p)

かくも報道と現実の落差は大きい。