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ローマ教皇の回勅欧米に大きな衝撃をもたらした。 「回勅は宗教的な文書ではない。極めて政治的な文書」とシリコンバレーが反論(宮崎正弘国際情勢)

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ローマ教皇レオ14世の回勅(5月25日)は欧米に大きな衝撃をもたらした。


未来のテクノロジー構築のための倫理的枠組みを提示しただけに多くがジレンマを抱えることとなった。


回勅が公表されると、シリコンバレーから批判が殺到し、バチカンとアントロピック社の提携(回勅の発表会にはアンソロピック幹部が同席)、そしてEU委員会のAIに対しての行き過ぎた介入などが批判の的となった。


調査会社ビスマルク・アナリシスのアナリスト、マルコ・ユキッチはXに投稿して、こう皮肉った。


「アントロピックの背後にいるベイエリアの『効果的利他主義者』の小集団(シリコンバレーを意味する)は、カトリック教会全体よりもダイナミックな道徳的・神学的思想家だ。教皇は彼らの考えを真似ているのであって、その逆ではない」(ポリティコ、6月3日)。


ホワイトハウスの前「AI&暗号通貨担当官」デビッド・サックスも現場責任者だったから、すぐに反論し、ローマ教皇は「安全保障の名の下に、AI開発に関して政府に広範な権限を与えようとしているが、それは必然的にオーウェル的な監視国家につながる」


AI開発に過度な規制こそ全体主義につながりかねない、典型は国民を監視下に置いた中国をみよ、というわけだ。


米国ではカソリックが弱いこともあってか、テクノロジー業界の大半が、ローマ教皇の回勅を、彼らの目標に対する“政治的な攻撃”だと捉えているのである。


或る評論家の弁。

「回勅は宗教的な文書ではない。極めて政治的な文書だ。基本的にはヨーロッパのテクノクラートによる規制、それがなぜ良いのかについて書かれた文書だ。世界はこの文書のことを24時間後には忘れてしまうだろう。少なくともアメリカではそうなるだろう。どんな機械を作るにしても、それは人間の創造物だからだ。私たちは神と、神が何ができるかを信じている。矛盾するはずがない。」


▼2028年大統領選挙、指名争いが濃厚に絡み出した


政治的にはむしろ窮地に立たされたのがJDヴァンス副大統領である。

ミュトスの発表直後に、AI企業CEOたちとの電話会議で、そのモデルに「恐怖を感じた」と述べ、業界の今後の最善策について「協力して取り組む」必要があると語った。


この発言は、2028年大統領選挙、指名争いが濃厚に絡み出しているかだ。


「ヴァンス氏の対応は、この文書の鋭い部分から身を守ろうとする試みだったと思う」(米国国際宗教自由委員会元委員長スティーブン・シュネック)が次を指摘した。「彼はこの文書から身を守るための措置を講じ、すでに文書のどの部分を認め、どの部分を除外するかを選別している。」


2028年の大統領選挙で共和党有力候補のひとりであるヴァンスがキリスト教の岩盤層とテクノリバタリアンとの間を行き来する人々と、これから如何なるアプローチしていくか。 


そしてもうひとりの大統領有力候補のルビオ国務長官もカソリックである。トランプは現在、どちらを支援するか明確に立場を表明していないし、そればかりか11月中間選挙を控え、トランプが推薦する上下両院議員や知事候補が予備選で連敗している。