ウクライナ戦争において、いかに有用にAIが使われたかを検証する中国軍 だが軍の統合的な作戦立案に活かされてはいないようだ(宮崎正弘国際情勢)
ロシアvsウクライナ戦争において、いかに有用にAIが使われたかを検証するのは中国の軍事専門家である。
以下は米シンクタンク「ジェイムズタウン財団」の『チャイナブリーフ』による分析である。
彼らは『超限戦』が前提のなんでもありの世界だから、「AIの決定的な価値は完全自律型兵器ではなく、殺傷メカニズム短縮にある」としている。
AIは4つの役割を担っていると中国軍専門家は分析した。
(1)センサーデータを標的に変換すること
(2)計画と指揮を加速すること
(3)妨害電波によって通信が途絶えた場合,ドローンを標的に維持する
(4)プロパガンダとディープフェイクの大量生産。
これらは中国が考えている戦闘データ、計算能力、チップ、AIモデルに基づいている。
ウクライナがロシアの製油所攻撃を止めないので、トランプはイーロン・マスクと組んで、ウクライナへのスターリンクのせービスを規制した。ウクライナのドローンは機能不全に陥った(10月31日に再開を確認)。
軍事物資の調達、ドローンの生産で劣勢に陥ったロシアが米国製半導体へ依存するという脆弱性も中国軍への警告となった。中国人民解放軍は、これらの教訓を、AIの将来的生産工程、無人部隊、大規模言語モデル(LLM)の調達に活かそうとしているが、中国軍はAIを補助的な任務に用いており、実態として技術進歩に追いついていない。
「インテリジェンス戦争」に関して中国軍のエンジニア、学者らの書いた研究論文では、「軍事的勝利に対するAIの主な貢献は、最初の命令から攻撃実行までのキルチェーンにおける時間差を短縮すること。AIは標的の発見、戦闘司令の意思決定、妨害のもとでの攻撃方法、認知戦の遂行という4つの主要なタスクを支援することで実現できる」としている。
中国人民解放軍は、収集した情報を意思決定プロセスに活用する点で進歩を遂げた。
空軍の攻撃計画システムが、従来の計画よりもはるかに迅速に標的、編隊、連続攻撃波を調整できると「環球時報」(8月3日)。
人民解放軍空軍のドローンから収集された情報は、AIを利用して評価し、「数秒から数十秒で最適な作戦計画を生成できる」と言っているが、実証されていない。
▼ディープフェイクならお手のもの
中国の軍事研究者は、認知戦において敵を欺き、或いは意図的な説得を通じて間違った判定材料を提供するため、ディープフェイク技術に取り組んできた。
ディープフェイク技術は安価であり、中国の士官学校の研究者らは、わずか 10 秒の音声サンプルを使用して音声クローンを作成できること、およびディープフェイクの作成コストが「ディープフェイクを防御する側が常にディープフェイクを使用する側よりも多く支払う」と指摘した。
現代の軍事能力を支えるAI技術は、脆弱なソフトウェアおよびハードウェアのサプライチェーンに依存している。AIは訓練のために戦闘データを必要とする。
中国の軍事評論家は、ロシアのウクライナ戦争を、AIが標的設定、計画立案、妨害下での攻撃を加速させる手段として、また安価なプロパガンダ増幅装置として最も重要視される戦争だと解釈している。
これらのイノベーションはすべて、国家の管理下に置かれなければならないデータ、チップ、ネットワークに基づいていると指摘している。結局、人民解放軍幹部らはAIモデルの性能、戦闘経験の不足といった欠点を十分に認識している。
以上の米シンクタンクの分析からも明らかとなることは、中国軍はハードウェア優先のドグマから抜け出していない実態である。
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