『米中開戦 躍進する日本』渡邊哲也著(徳間書店)

アメリカは国防予算を10%増加させるとトランプ大統領が議会に教書
不法移民取り締まり強化ではやくも効果をあげたが、さて次は?
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題名こそおどろおどろしいが、中味はきわめて理知的、論理的で、著者は筆致を抑え、淡々とトランプのアメリカが経済的に中国を締め上げてゆくであろうことを予測する。実際、トランプのナショナリズムに訴えるという政治手法、ツィッターで政局を開くという地殻変動は世界を別の色で染め上げつつあり、EU、NATOの変質も目の前に現れようとしている。
トランプが基本的に敵視しているのは中国である。すでに鳴り物入りのAIIBは機能せず、日米が加盟しないので迷路に這入り込んでいる。BRICSも有名無実。機能していないと著者は見る。
アメリカが非協力的である限り、ふたたび日の目を見ることはないだろう。中国はトランプ大統領がTPP離脱を決定したことをたいそう喜んだが、それはぬか喜びでしかなかった。米国は新しい貿易協定をつくって自国優位な枠組みの中で繁栄を享受するが、置いてけぼりの中国はますます衰退する。中国主導のRCEPとFTAAPは、米国が徹底的に妨害するだろう、と分析する。この流れをよめば、次に日本が採るべき選択肢は容易に想定できる。
本書の中では、ユニークな分析が数多いが、なかでも渡邊氏が、「世界の警察官からアメリカは『軍事サービス会社』になる」という予測である。「トランプ氏はオバマ路線を引き継ぐ形でアメリカは『世界の警察官』を辞めると語っているが、それからは『警察官』ではなく、『強い軍事会社』になるのではないだろうか」と言うのだ。
つまり「顧客が払う料金によってサービスの内容を変えるということだ。金融によって、自動警備なのか、有人警備なのか、それても最新鋭の警備体制を敷くのか」。いずれにしてもアメリカは産油国である中東への介入を減らすだろうという予測の根拠は自国内のシェールガス生産が軌道にのるからだ、とする。
またリベラルなメディアは衰退一途となり、トランプは記者会見を開かず、ツィッター発信で政策を述べているが、メディアはそれを後追いするだけ、このメディア衰退の波は早晩、日本にもやってくる。
トランプは就任以来、急ピッチでアクセルをふかし、「百日の改革」を謳い、28の公約を並べて実践を急ぐのも、次の中間選挙で共和党の上院60名という絶対多数をめざしているからだとする。
意外な視点から米中関係の急所を衝いている。
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