「居眠りジョー」、三度目の正直で2020年大統領に挑む トランプ陣営は早くからバイデンを一番の脅威とみていた(宮崎正弘国際ニュース早読み)

ジョセフ(ジョー)・バイデン前副大統領が「世界の指導者達から強く推挙されて」と非自主的な言辞を吐きつつ、2020年の米国大統領選への立候補を表明した。途端に過去のセックススキャンダルが露呈し、その品格においてトランプを攻撃できない弱い立場にある。
しかしながら、ほかに民主党内からは上下両院議員、閣僚経験者、知事など出馬表明の十九名。並み居るドングリのなか、サンダース上院議員が序盤戦をこれまでにリードしてきた情勢を超えて、いきなり人気トップである。
なぜならバイデンくらいしか、民主党の分裂を是正できる政治家は不在で、穏健派の彼ならウォール街の支持も得やすいからだ。民主党は極左、過激リベラルが党内で優勢となり、その分断、分裂状況たるや、日本の野党のそれよりも悲惨である。
各派がバラバラ、足の引っ張り合い、身内の争いだが、同じ党の同士かと思われるほど勢力争いは熾烈である。それぞれが勝手なことを言い争い、政治的論争は、フェミニズム、LTBGから、もはや収拾のつかないほどの過激なレベルになっている。
サンダースは富豪でありながら、社会主義者である。
アメリカ政治は民主主義が建前、自由競争を原則としながらも、社会主義思想も地域的、人種的、階層的には強い影響力がある。アメリカ全体が分裂している。
しかもアメリカ人の若者、とりわけ東海岸のリベラル層と西海岸の極左過激集団や学生団体、虐げられた移民層からサンダースは圧倒的な人気がある。この支持層にバイデンはどこまで食い込めるだろうか?
とくに若者たちが「アメリカン・ドリーム」をもはや描けず、大学へ入学し、卒業するまでのローンが一生ついて回る貧困を嘆き、その現状への不満、金持ちへの怨念からサンダースを反射的に支持する。かの強欲資本主義の国の若者たちが、福祉優先の社会主義国家を目ざす政治家に託そうというのだから、本末転倒なのか、あべこべの珍現象なのか。
▲グローバリズム vs ナショナリズムという対決構造のなか、二つの異変
しかし、世界政治ではグローバリズム vs ナショナリズムという対決構造に併行して、二つの「異変」が過去十年以上も地球的規模で続いていることに注目しておくべきであろう
第一は裕福な家庭に育つ子供達が、その贖罪意識からなのか、階級的矛楯を深く憂い、過激なイスラム思想に走る現象である。350名以上の死者をだした、スリランカの豪華ホテル、教会に仕掛けられた自爆テロの犯人は金持ちの息子達が目立った。数年前のバングラデシュで起きたJICAの日本人殺害テロの犯人もそうであった。
第二は元首選挙がいかにシステムを危うくするかという民主主義体制の矛楯、つまりポピュリズム、ポピュラリズムの浸透、その蔓延がもたらす末期的政治危機である。
イタリアで始まった「五つ星運動」の創始者はコメディアンだった。またたくまにベルルスコーニ率いる保守陣営を追い越し、政権を獲得した。
一昨日、ウクライナで当選した新大統領のゼリンスキーもコメディアンである。嘗てフィリピン大統領にコメディ映画俳優がいたし、日本でも東京都知事、大阪府知事にコメディアンが選ばれたこともあった。
だがこうした現象の連続は、たんに国民の政治的無関心、国勢の退化、若者の劣化だけが原因なのか、あるいは文明の衰退期にみられる共通の現象なのだろうか?
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