東アジア歴史文化研究会のブログ

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【日本は誰と戦ったのか④ 江崎道朗】「真珠湾攻撃」の真実 米国で見直し進む

東アジア歴史文化研究会

2019.2.1

歴史は「新資料の公開」や「研究の進展」によって次々と見直されていく。日米戦争の発端となった真珠湾攻撃がその代表例だろう。

1941年12月、日本軍が真珠湾攻撃をした当時は「卑劣なだまし討ち」と非難された。

だが、48年、米国の著名な歴史学者チャールズ・ビアード博士が「時のフランクリン・ルーズベルト大統領は暗号傍受により、日本軍による真珠湾攻撃を知っていたのに、対日参戦に踏み切るため、わざと日本軍攻撃のことをハワイの米軍司令官に知らせなかった」とする、いわゆる「ルーズベルト謀略論」を唱えたのだ。

その後も米国では、真珠湾攻撃について議論が続く。

平行してハワイでは80年に、米国国立公園局によってアリゾナ記念館ビジター・センターが建てられ、真珠湾攻撃に関する歴史展示館が併設された。

筆者が2017年、この施設を訪問したところ、その入り口に飾られていた解説にはこう記されていた。

《つのる嵐 アジアで対立が起きつつある。旧世界の秩序が変わりつつある。米国と日本という2つの新興大国が、世界を舞台に主導的役割を取ろうと台頭してくる。両国ともに国益を推進しようとする。両国ともに戦争を避けることを望んでいる。両国が一連の行動をとり、それが真珠湾でぶつかることになる》

真珠湾攻撃は、日米両国がそれぞれの国益を追求した結果起こったものであるとして、日本を「侵略国」であると決めつけた東京裁判史観を間接的に否定している。

戦後も70年が過ぎ、当時は分からなかった経緯も知られるようになるにつれ、米国では、歴史の見直しが進んでいるのだ。

しかも、前回紹介したように、ソ連の対米工作についての機密文書、いわゆる「ヴェノナ文書」が1995年に公開された。その研究が進んでおり、米国では何と、「真珠湾攻撃の背後に、ソ連のスターリンの秘密工作があった」とする「新説」が生まれている。

その代表格が、米国で著名な言論人であるM・スタントン・エバンズと、インテリジェンスの専門家であるハーバート・ロマースタインが2012年に刊行した『スターリンの秘密工作員』(Stalin’s Secret Agents, Simon and Schuster)だ。

彼らは、日米戦争にはさまざまな要因があるが、「ソ連のスターリンが戦前の日米和平交渉を妨害し、日米両国の対立を煽り、日米戦争へと誘導した」とする視点で第二次世界大戦を再検証する必要があると提案したのだ。

米国は、日本と戦ったのではなく、「ソ連の秘密工作」によって日本と戦わされたのではないのか、ということだ。

■江崎道朗(えざき・みちお) 評論家。1962年、東京都生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集や、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、現職。安全保障や、インテリジェンス、近現代史研究などに幅広い知見を有する。著書『日本は誰と戦ったのか』(KKベストセラーズ)で2018年、アパ日本再興大賞を受賞した。他の著書に『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』(PHP新書)、『知りたくないではすまされない』(KADOKAWA)など多数。