東アジア歴史文化研究会のブログ

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朝日新聞が憲法改正に“横やり” 中国の国営通信社も同じく「安倍の改憲…容易でない」 (突破する日本④ 八木秀次)

東アジア歴史文化研究会

2019.7.26
朝日新聞の24日朝刊

朝日新聞が憲法改正への動きに横やりを入れてきた。24日付朝刊1面には、「安倍首相に一番望む政策 社会保障38% 改憲3% 本社世論調査」の見出しが躍る。国民は憲法改正を望んでいないと言いたいのだろう。

中国の古い言葉に「鼓腹撃壌(こふくげきじょう)」がある。満腹で腹つづみを打ち、足で地面をたたいて拍子をとれるような豊かで平和な世の中を示したものだ。国民は、自分がいくら年金をもらえるか、給料が上がるか、景気動向はどうかといったことへの関心は強いが、国家の存立についての関心は薄い。

憲法改正がまさにそうだが、世論調査はそれを語っているに過ぎない。が、国民が重視していないことが取り組まないでいい理由にはならない。憲法改正、特に憲法に自衛隊を明記することは安全保障の問題だからだ。

現行憲法は先の大戦後の占領下に制定された。懲罰的な意味もあって「戦力」の保持を禁じた。9条2項だ。その後、朝鮮戦争が起き、占領政策は「再軍備」に転じた。こうして誕生したのが自衛隊だ。

自衛隊は、自衛隊法と防衛省設置法の2法を法的根拠とする。法律は国会の過半数で廃止できる。綱領に「自衛隊の解消」を掲げる共産党はそれを企図しているのだろう。現在の自衛隊はその程度の存在でしかない。

これに対し、自衛隊が憲法に明記されれば憲法を法的根拠とする強固な防衛組織となる。国民投票で承認することは国民が自衛隊をわが国の正統な防衛組織と認知していることを内外に示すことでもある。そのこと自体が抑止力を高める。

中国外務省の報道官は22日の記者会見で「改憲問題は日本の内政だが、歴史的な原因によって特にアジアの隣国は強い関心を寄せている」と述べた。国営新華社通信も同日の論評で「安倍(晋三首相)が改憲への道筋を描くのは容易ではない」と論じた。

安倍首相が進めようとしている自衛隊明記の改憲案は自らも言う通り、「自衛隊の任務や権限に変更は生じない」。にも関わらず、中国が敏感に反応し、憲法改正を牽制(けんせい)することに、自衛隊明記がいかにわが国の抑止力を高めるかが示されている。

自衛隊を憲法に明記する具体案はこれから検討される。安倍首相も自民党案に「とらわれることなく」と語っている(22日)。国民民主党などを加えた幅広い議論を期待したい。

しかし、自衛隊明記案は「自衛隊の任務や権限に変更は生じない」、その程度のものでしかない。厳しい安全保障環境のなか、わが国の防衛政策はどうあるべきか。ドナルド・トランプ米大統領の日米安保不平等論も踏まえつつ本格的な議論を並行して行うべきだ。

(麗澤大学教授・八木秀次)