櫻井よしこ氏が警鐘 覇権が中国へ移りかねない分かれ道にいる 「東シナ海・南シナ海フォーラム」

2015.11.23
櫻井よしこ氏
中国の南シナ海をはじめとする領土的野心と、それに対峙するベトナム、そして日本の取るべき道について考える「東シナ海・南シナ海フォーラム」(夕刊フジ後援)が11日、東京・東池袋の豊島公会堂で開かれた。第1部はジャーナリストの櫻井よしこ氏による基調講演。第2部は櫻井氏と静岡県立大学特任教授の小川和久氏、評論家の宮崎正弘氏、東海大学教授の山田吉彦氏の4人によるシンポジウムが行われ、会場は約800人の聴衆で満席となった。櫻井よしこ氏による基調講演内容を詳報する。
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いま、南シナ海でさまざまな危険な動きがありますが、南シナ海で起きていることは必ず東シナ海でもこれから起きるということです。ベトナムやマレーシア、フィリピン、インドネシアが直面している運命は、うかうかしていると日本も同じような目に遭いかねないことを告げています。
世界で、大地殻変動が起きています。米国から中国へと世界秩序構築の主導権が移ってしまったら、非常に大きな不幸な変化が世界に生じます。私たちの幸福にも繁栄にも平和にも結びつかない、後ろ向きの変化となることでしょう。
なぜ、こんな地殻変動が起きたのか。いちばん責任があるのは米国のオバマ大統領だと思います。
オバマ大統領は2011年に米軍をイラクから撤退させました。その途端、曲がりなりにも安定していたイラク政権がぐらぐらと揺れ出し、いまは国自体が分裂されそうな局面です。これはオバマ大統領が「もう軍事的貢献はしたくない」という信念を、国際情勢をよく見ないで貫いてしまった結果でしょう。
第2期に入ってオバマ大統領は13年9月10日に本音を世界に暴露しました。ちょうどその時、シリアで内戦が激しくなっていましたが、オバマ大統領は全米の国民に「シリアに軍事介入はしません。米国は世界の警察ではない」と宣言したのです。ここから本当に、目に見えて世界がガラガラっと変わり始めた気がします。
その半年後の14年3月にロシアはクリミア半島を奪いました。そしていま、中国によって南シナ海7つの島々が埋め立てられ、東京ドーム170個分の面積に匹敵する土地が造成されました。オバマ大統領が「世界の警察ではない」と言ったことがロシアと中国を奨励してしまったのです。
でも、オバマ大統領もついにイージス艦のラッセンを南シナ海に入れました。ただ、報道を見ると1時間くらい航行して、すーっと出ていってしまった。米国は中国に遠慮しすぎています。米国がもし、南シナ海に関心を持つことをやめたり消極的になった場合、7つの島々を埋め立てて作った土地は中国のまぎれもない軍事基地になるわけです。作った者勝ち、取った者勝ちということです。
こうした中で私たち日本は何をしなければならないか。私はいまこそ、日本がリーダーシップをとるべきだと本当に思っています。
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の合意にこぎつけました。12の国々の中のひとつがベトナムです。ベトナムはTPPで、国営企業を民営化していかなければなりません。政権中枢も含めて、既得権益を手放す覚悟がなければできないことで、大きな変化ですね。同じことをやれば、習近平体制はもちません。つまり、共産党一党支配の中国が否応なく私たちの個々の価値観と向き合わねばならない12カ国連合体制を、私たちは作り上げたのです。この意味でTPPは日本にとっても非常に大きな力になります。
また、安倍政権は安保法制をやり遂げました。このことも中国は警戒していると思います。中国に侮られないための体制づくりを、安倍政権は着々と作り上げたのです。
米国から、異質の国・中国へとリーダーシップが移りかねない分かれ道に私たちは立っています。世界を正しい方向に進めるために、日本はいま全力で働かなきゃいけない。それが南シナ海沿岸国の幸福にもなり、ひいてはわが国のためにもなると思います。
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