西側vs中印露「第二次冷戦」 3カ国が結束したら…明日の日本の危機 「自衛のための核保有」議論も必要 大原浩氏が緊急寄稿

2022.4/4
ロシアのプーチン大統領
ウクライナへの侵攻を続けるロシアに対し、米国などは参戦の意向を示さず経済制裁に集中している。この戦略が、ロシアと中国、インドを接近させると危惧するのは国際投資アナリストの大原浩氏だ。大原氏は緊急寄稿で、西側諸国と中印露が対立する「第二次冷戦」に備えて日本も自国防衛の強化が必要だと指摘、「ウクライナ危機は明日の日本の危機」と警鐘を鳴らす。
プーチン大統領がウクライナに侵攻した最も大きな理由は「北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大への対抗」だといえよう。
ロシアと、米国を含むNATOが直接戦えば、核戦争に至る場合は除いてNATOが勝利するのは間違いないはずだが、バイデン米大統領は「ウクライナのために第三次世界大戦は戦わない」と明言している。ロシアが核の使用をちらつかせている以上、ウクライナが軍事的な勝利を手にするのは難しい。
バイデン政権は米国民の血を流さない経済制裁に集中しているが、どの程度効果を発揮するのか疑問だ。経済制裁は、「真綿で相手の首を締める戦略」だから、ウクライナがすぐに救われるわけではない。イラン、北朝鮮、ベネズエラなどは経済制裁を受けながら、いまだに健在だ。
ロシアは世界のエネルギーや食糧において大きな存在感を持つ。ドイツなど欧州諸国はもちろん、サハリンの石油・天然ガスプロジェクトを抱える日本にも経済制裁のブーメランが返ってくるリスクがある。
半世紀前のベトナム戦争では、南ベトナムより米軍の存在が圧倒的で、北ベトナムの背後にはソ連や中国が控えていた。
ウクライナ紛争も似たような「代理戦争」の構図だが、今回、西側に対抗するのはロシアや中国だけではないと考えられる。西側と思われているインドも参加する可能性があるのだ。
3月2日の国連総会の「ロシア非難決議」に141カ国が賛成したが、インドは棄権した。米国との関係は冷え込み、使用している武器の多くもロシア製だ。中国との仲はかなり悪いのだが、経済制裁に対抗する形でロシアと中国が近づけば、3国が大同団結する可能性を否定できない。
ロシアは米国を上回る数の核を保有する。中国の国内総生産(GDP)は世界第2位だ。ここに近い将来に人口が世界1位になると見込まれるインドが加わると人口30億人規模の勢力になる。
バイデン政権の経済制裁は、これらの国々に「米国中心の金融・経済システムは安全保障上危険だ」という恐怖を与え、軍事面だけではなく経済、金融システムにおいても団結を強めさせる恐れがある。
その点、トランプ政権が中国を貿易戦争で攻めて、ロシアとの友好関係は維持し、両者を分断しようとしたのは正しかったといえる。
中印露の3カ国が結束することは、日本の安全保障においても脅威だ。ロシアは日本の経済制裁を理由として「平和条約締結交渉の打ち切り」を宣言した。中国が尖閣諸島や台湾に侵攻したときにロシアが中立を保つと考えるのは期待薄だ。それどころか北方領土にミサイル基地を建設する可能性さえ出てきた。不幸にも日本はロシア、中国、北朝鮮に囲まれており、彼らが結束した場合のリスクは大きい。
日米安全保障条約は「片務契約」で、米国は日本を守るために戦うが、日本は米国を守るためには戦う必要がない。だが、実際に中国が尖閣に侵攻したときに、米国は第三次世界大戦のリスクを犯してまで日本を守るだろうか。
ウクライナ危機は、明日の日本の危機でもある。核共有の議論はもちろんだが、憲法上は問題がないはずの「自衛のための核(独自)保有」も議論しなければならないほど切迫した状況だと考える。
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