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防衛費のGDP2%達成を 岸田政権最大の課題、中国から「尖閣自主防衛」 米国の厭戦ムードが安保の脅威に 大原浩氏緊急寄稿

東アジア歴史文化研究会

2021.10.10
岸田氏

岸田文雄政権にとって安全保障面で最大の課題は、軍事拡大路線の中国の習近平政権から沖縄県・尖閣諸島を守ることだ。ジョー・バイデン米大統領は「尖閣の日米安全保障条約適用」を明言するが、国際投資アナリストの大原浩氏は「米軍頼みは禁物」と強調する。大原氏は寄稿で、新政権に尖閣自主防衛の覚悟を問い、中国に勝つための防衛費の大幅な引き上げを提言した。

31日投開票の衆院選では新型コロナウイルス対策や景気対策などが当然争点になるだろうが、緊急の課題として注視しなければならないのは安全保障問題である。

「中国が攻めてきたら一緒に酒を酌み交わせば解決できる」という妄言を吐く人々はともかく、日本の防衛問題を真剣に考えている人々の中にも「いざとなれば米国が助けてくれる」と期待をしている人々が多い。

台湾や日本本土が攻撃されたときには、米国の安全保障上の脅威になるであろうから、日米安全保障条約に基づく支援を期待できる。

しかし、中国が日常的に進入を繰り返している尖閣諸島の場合はどうであろうか。

バイデン大統領は5日の岸田首相との電話会談で「日米安保の適用範囲である」と改めて発言したという。だからといって尖閣が攻められたときに本当に米軍が出動するかどうかは不明だ。

米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長が、当時のトランプ大統領に隠れて行った中国軍将官との電話で「対中攻撃は検討していない」と述べたと報じられた。当時の上官だった大統領の意向に逆らう越権行為であり、国家反逆罪が適用されてもおかしくない事案だが、バイデン氏は「彼を信頼している」とかばっている。

尖閣が侵略されたときにバイデン大統領が日米安保条約に従って米軍の出動を要請しても、ミリー氏がバイデン氏の指示に従わないという国家反逆行為を繰り返す可能性は十分にあるのだ。

ミリー氏にも言い分はあるだろう。米ブラウン大の試算によれば、2001年9月の米中枢同時テロを機に始まった「対テロ戦争」に米国が投じた費用は8兆ドル(880兆円)。死者は約90万人にのぼる。

対中戦争を始めれば、米軍の被害が甚大になるのは明らかで、新たな犠牲を払いたくないと考えるのは自然だ。尖閣が攻撃された場合も、厭戦ムードが強い米国民の世論を背景にした行動になるはずだ。

1979年12月、ソ連軍の大部隊がアフガニスタンに侵攻したとき、米国はベトナム戦争のサイゴン陥落の後遺症から、直接介入は行わず、パキスタン政府やムジャヒディン(イスラム戦士)を通じた後方支援しか行わなかった。

尖閣でもバイデン氏が前言を翻して不介入を貫くことは十分あり得る。これまでの同氏の言動を見ている限りその発言内容は不安定だ。

したがって、新内閣は早急に憲法を改正して、「米国の若者が血を流しているのに、日本人が高みの見物をしている」などと言われることがないようにするべきだ。そして、それ以上に重要かもしれないのが国際標準ともいえる「防衛費の国内総生産(GDP)比率2%達成」である。

現在、日本は主要国の中で唯一、1%以下の0・94%である。米国の3・29%は突出しているが、韓国2・61%、オーストラリア2・16%、フランス2・02%、英国1・89%である。

中国の防衛費の実態はよく分からないが、GDPの1%であったとしても、総額で日本の3倍、2%であれば6倍だが、実際にはそれよりも多いかもしれない。

ただし、人民解放軍の費用の多くは「人件費」や「中間搾取=賄賂」などに消えているといわれ、空母を始めとして近代装備が遅れているとの見方もある。

人民解放軍がいくら巨大であっても、精鋭の自衛隊が打ち勝つことは十分可能だと考えるが、GDP比1%以下の防衛費では、隊員が公務で使用するトイレットペーパーさえ自前で賄わないといけないともいわれる。

新内閣は、日本の「安心安全」の根幹である防衛費を世界標準のGDP比2%に引き上げることが急務だ。


■大原浩(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。