『正義の戦争は嘘だらけ』渡邊惣樹・福井義高(ワック) 戦争プロパガンダでは「悪」が「善」に、悪人が英雄になる FDRもチャーチルも歴史的英雄となって歴史の真実は消された

副題が「ネオコン 対 プーチン」である。この基本構造で歴史家のふたりが現状を読み解いている。
日本では、ロシアvsウクライナ戦争の本質を見極めない報道ばかりだが、日本の国際政治学者、ジャーナリストらの分析は殆ど噴飯ものである。評者(宮崎)は、これを英米論調の複写機と比喩している。
いかに歴史解釈が間違っているか、その前提となる議論がそもそもでっち上げられた虚構に依存しているとする二人は、スペイン内戦、第一次世界大戦、ヒトラー、スターリンに遡及して論考を展開する。
プーチンのウクライナ侵攻に「正当性」はないが、「理由」はあった。しかし、戦争をしかけたのはプーチンというより、米国の戦争希望集団のヌーランド(国務次官)一味、つまりネオコンだった。
ヌーランドは身内の会話で、「これほどうまく行くとは思わなかった」とプーチンを巻き込んだことを成功譚として自慢したらしい(『月刊日本』8月号、東郷和彦氏の指摘)。
英米が善で、その代理戦争を「自由」のために戦うゼレンスキーは最善で、悪魔がロシアという図式は「戦争プロパガンダ」いがいの何物でもない。
ドイツではヒトラーの『我が闘争』は禁書である。学者が図書館で書庫から借りだし、読むときは閲覧室に鍵をかける。フランスではアルメニア虐殺を否定すると刑務所に行かなければならない。言論の自由はない。
まさか自由の国アメリカで、歴史解釈が歪められているとは、想像がつかないであろう。しかしアメリカでも「言論の自由」は風前のともしびとなって、左派がでっちあげたロシアゲートはトランプをひきづり降ろす。日本でも「女の会議は長い」と真実を言ったら五輪委員長は降ろされた。朝日新聞がでっちあげたモリカケ騒ぎで、安倍首相は下野を余儀なくされた。
安倍晋三は国際政治の舞台裏ですすむ戦争プロパガンダに気がついていた。すくなくともミアシャイマーのレベルにあった希有の政治家だった。だからプーチンとは長い長いつきあいを深めていたのだ。
日本はアメリカの付録とは言え歴史観まで嘘につきあわされる必要はない。ところが戦争プロパガンダを見抜ける眼力をもった政治家もジャーナリストも不在となって歴史家となると近視眼的視野狭窄ばっかり。
ウクライナ戦争の真実は表面の報道と真っ逆さまだというのが、本書を読むと納得できるだろう。
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あらすじ・内容
プーチンのウクライナ侵攻には「正当性」はなくとも「理由」はあったのか?
「英米=正義」の「戦争プロパガンダ」を検証する
(本書の主な内容)
第一章 米ネオコンに操られるウクライナ戦争
超党派で構成される米ネオコンのさまざまな策略によって勃発したウクライナ戦争。
その実態を的確に分析せずに、日本国が、単純に反ロシアにのめり込むのは危険だ。
第二章 繰り返される「1984」的な「戦争プロパガンダ」
戦争報道につきものの「プロパガンダの罠」に嵌まって正常な思考力を失う大衆。
誰が何のためにフェイクを撒き散らしているかを冷徹に分析することが肝要だ。
第三章「正しい戦争」と「不正な戦争」とがあるのか?
第二次世界大戦や朝鮮戦争やベトナム戦争やイラク戦争は「正しい戦争」だったのか。
勝者の視点からのみの戦史解釈を敗戦国に押しつける歴史観は再検討されるべきだ。
第四章 スペイン内戦――共産礼賛史観を修正せよ
スペイン内戦が「民主主義対ファシズム」の戦いだとみなすのは完全な誤認。
ピカソ「ゲルニカ」から始まった共産礼賛史観の嘘八百を徹底的に論破する。
著者
渡辺惣樹 「本書出版の時点では、ウクライナ戦争の帰趨は確定していない。しかし、今後どのような展開になろうとも、読者には、歴史観の欠けた、あるいは米国ネオコン外交に疎い一般メディアの解説とは違った価値ある視点を提供できたのではないかと考えている」
福井義高 「ロシアのウクライナ侵攻をめぐる、最新の『戦争プロパガンダ』を一つの教材として、現代史を論じ合った成果が本書です。読者が今の国際政治情勢のみならず,その歴史的背景について考察を深めるきっかけとなれば幸いです」
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