壮大なる構想や良し、日本の「半導体の空白の十年」を挽回へ? 2ナノ半導体を目指す新会社は「ラピダス」。五年でトップ回復を目指す(宮崎正弘国際情勢解題)

台湾TSMCと韓国サムスンは既に3ナノ技術を開発している。
TSMCは米国アリゾナ州に新工場を建設し、次世代半導体はここで量産する。
TSMCの熊本工場は12ナノ以下の半導体を生産するのみで、EV、センサー等の汎用品需要を満たす。ま、ないよりはマシといった程度。
日本国内の半導体はルネサス、キオクシアがあるが、世界的競争力でみると後塵を拝している。東芝は解体され、半導体部門は身売りとなった。
日本の半導体の黄金時代は1970年代からで、日立、NEC、東芝など重電メーカーが覇を競った。ミネベアなども参入し、80年代に日本のシュアは世界の過半、89年には70%ものシェアを占めた。
この破竹の進撃に待ったをかけたのが「日米半導体協定」だった。
自動車の輸出自主規制を強要されたように、日本の業界は手枷足枷をはめられた。そのうえでアメリカは台湾と韓国にテコ入れし、日本の頭越しに技術を供与した。
理不尽きわまりないが、これがフェアの精神を説くアメリカの不公正で、かれらのロジックは論理的にみえて、じつは詭弁である。明らかにWTOに違反する。
ところがアメリカは貿易赤字を抱える原因を「米国は競争力を持ちながら、日本市場の閉鎖性によって対日輸出が増加しない」ことが原因であるとし、身勝手な「スーパー301条」の発動を「脅し」の手段として駆使した。
アメリカの戦略的発想とは半導体をいまも昔も国家安全保障と搦めて考えることである。
自国の半導体産業の状況を自らの努力のなさ、工業のインフラの欠陥にあることを反省せず、対日貿易赤字を日本の商習慣が元凶だと決めつけるのだ。
アメリカは日本の市場を海外メーカーに解放し、ダンピングを防止することとした。つまり「言いがかり」なのである。スーパー301条はパソコン、カラーテレビ、電子工具に適用された。
その上で1991年に「第二次半導体協定」が結ばれ、
(1)日本の半導体市場における外国製のシェアを20%以上にする。
(2)日本の半導体メーカーによるダンピングの防止という二つが骨格となる。隙間をついて台湾と韓国がすくすくと伸びた。
新会社「ラピダス」は次時世代半導体の基礎研究を手がけ、トヨタ、NTT、キオクシア、ソニーグループ、ソフトバンク、デンソー、三菱UFJ銀行の国内8社が73億円を出資し、政府が700億円の補助金を拠出することでまとまった。2ナノ半導体を2027年に量産する。
しかし国家が主導し民間企業の連立のような「日の丸半導体」というスキームは嘗て「エルビーダ」で失敗した。日立、三菱電機、NECが母胎となったが結束が乱れ、半年で倒産に到った経緯がある。
ラピダス、大丈夫か?
アニメ(徳間書店制作)の「天空の城 ラピュタ」のラピュタ帝国は滅びたんじゃなかった?
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