え? マッカーシー下院議長、突如解任のドタバタ 新議長選びで議会またまた空転へ。つなぎ予算の期限は11月15日(宮崎正弘国際情勢解題)
前代未聞のパロディとも言える政治劇が米国下院議会で起きた。
ケビン・マッカーシー議長が賛成多数で解任となったのだ。ことし1月に、なんと15回の堂々めぐりの投票でマッカーシーは下院議長となったが、わずか11ヶ月でその座から降ろされた。
ニューヨークタイムズは「混沌に陥った」と書き、ワシントンポストは「未知の領域に足を踏み入れた」と書いた。
共和党保守派多数は「うんざり顔」。なにしろ一部の強硬派が利敵行為を行ったというのが彼らの認識である。
マッカーシーはRINO(名前だけの共和党員)と言われ、共和党の保守系議員からは常に攻撃されてきた。9月30日に成立した「つなぎ予算」をめぐり、問題が再燃していた。
強硬派のマット・ゲーツ下院議員は、大幅な歳出削減(ウクライナ支援停止など)を要求したが、マッカーシー下院議長が受け入れなかったため、解任動議を提出した。 前代未聞なのは、わずか8名の共和党議員が、民主党と組んでの荒技的奇策である。
10月3日に採決が行われた結果、マッカーシー議長の議会運営に異を唱える党内強硬派議員らと民主党出席議員の全員が賛成票を投じたことで過半数を越えた。ちなみに下院は共和党が221議席、民主党が212議席で、今回の投票では民主党の出席議員が208名、ここに共和党のいわば「トランプチルドレン」の8名が合流するかたちとなった。結果は216vs210票と6票差だった。共和党保守強硬派の先鋭化は、これから尾を引くことになるだろう。つまり党内のセクトが敵とくんだ訳で共和党の党利党略から言えば、党運営の原則を無視したかたち 、懲罰ものである。
ところで、強硬派を代表するマット・ゲーツ(フロリダ州選出)だが、議会の評判が悪いうえ、少女買春容疑で捜査をうけている。派手なパフォーマンスと暴言で知られ、共和党穏健派からは顰蹙をかっている。
議会の共和党内の強硬派はフリーダムコーカスの流れをくんでいて、2009年に反オバマ政権を掲げて発足した茶会運動(ティーパーティ)が源流。トランプの熱狂的支持者が多い。
ケビン・マッカーシー前議長はカリフォルニア生まれで、両親は民主党だった。 加州議会議員から2006年に連邦下院議員に当選。14年に院内総務、2015年に下院議長に就こうとしたが、共和党内のフリーダムコーカスに阻まれた。2016年にはトランプ支持組だったが、その後、距離をおくようになった。マッカーシー議員の地盤は保守層が厚いカリフォルニア州23区。ロスの西北部のサンバーナーディーノ郡、カーン郡とロサンゼルス郡の一部が含まれる。
マッカーシー議長は春頃に訪台を希望したが、さきのペロシ訪台のときに空軍が厳戒態勢を敷いたこともあり台湾側が遠慮して、蔡英文総統が南米訪問の帰路にロスアンジェルに立ち寄る際に面談した。
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