中国一の繁栄を誇った広東省の経済に大不況 広州、中山、東莞、仏山、そして深センがなぜ急速に廃れたのか(宮崎正弘国際情勢)
嘗てもいまも北京、上海、そして広東の党書記は出世コース、とくに歴代の広東省書記は趙紫陽、張徳江、李長春、王洋、胡春華、李希らもつとめあげ経済繁栄は持続し、改革開放のモデルとされた。現在の黄伸明になってから途端に日が陰りはじめた。
深せんは中国のシリコンバレーと言われ花形のファーウェイ、テンエント、パイトダンス(TIKITOKの親会社)、アリババ、鵬海精密などが拠点を置いた。
最大の要素はとなりに香港という国際金融都市をかかえていたからで、株式市場からの資金調達が円滑だった。香港経由の海外資金も潤沢にあつまった。そして海外華僑の投資が集中した。台湾華僑は福建省を目指した。
改革開放は広東から始まったが、“広東覇王”といえばトウ小平を強力にバックアップした葉剣英が地盤とし、改革解放を支援したからだ。その息子の葉選平は政治協商会議副主任ポストを用意されながらも北京へは行かなかった。そして弟の葉選寧が2016年に死去するまで、広東ではかなり自由なビジネスが可能だった。
2020年に中国共産党が香港を回収し、規制を強化するや、自由民主活動家ばかりか資本家がどっと香港を去った。およそ30万人の富裕層が香港を捨て、次に国際金融の銀行、証券、ファンドがシンガポールやドバイに移転し、またたくまに広東に不況の嵐が広まった。
返還前、香港行政府の資産残高は外貨準備を含めて20兆円以上あった。それが2025年には17兆円の赤字に転落した。
ショッピングモールはガランドウ、商店街はシャッター通りになり、夥しいホームレスが歩道からビルのロビィ、歩道橋を占拠し寝転んでいる。時間給は一時間@180円、一日十時間の重労働でも1800円にしかならない。これはコロナ以後つづいている現実である。
そうしたタイミングを狙うかのように、2025年12月、絶対機密とされた軍事法廷の映像がインターネット上に流出した。
あり得ないこと、誰かがリークしたのだろうが、習近平体制につぎつぎとアキレス腱が発覚している。
漏洩された映像とは「徐勤先抗命」の裁判記録で、被告席に座らされた徐が「善人と悪人、軍人と民間人が混在する現場に武器を携帯して向かうリスクに苦悩した、任務がうまくいかなければ「歴史の罪人になるかもしれない」と感じたと吐露する映像である。
「“徐勤先抗命”事件」とは、1989年「六四天安門虐殺」の際、中国人民解放軍第38軍司令官(中将)だった徐勤先が、動員命令を拒否し、学生への武力行使を避けた勇敢なる行動を意味する。彼は「首をはねられても、歴史の罪人にはならない」と語り、逮捕されて懲役5年を言い渡された。
「人民に武器を向ける事は出来ない」と署名を拒否して軍長を解任され、軟禁状態に置かれた。天安門事件の後に党籍を剥奪され、軍事裁判で禁固5年の刑を受け、秦城監獄に収監された。
出所後、監視下におかれ2021年1月8日に85歳で没した。
この映像が流れ出したことは、中南海で異常事態が起きていると推測される。
習近平の黄昏が迫った。
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