大高未貴『世界経済を操る“黒い貴族”の正体』(ビジネス社) 世界を揺るがす戦争の背後で、誰が得をしてきたのか? アメリカとイスラエルの異様な関係、影から世界を支配する「エセ・ユダヤ」
本書は陰謀論の類いかとおもえばそうではない。事実の羅列による推論で組み立てられている。トランプはイスラエルに騙されたのか、アメリカは何故ガサの虐殺を黙認し、イスラエルに軍事支援を続けるのか?
そこには何か隠されている理由がある筈だ。
9・11、イラク戦争、ウクライナ戦争、ハマス、ヒズボラ攻撃、そしてイランへのミサイル攻撃と空爆。
こうした戦争の裏側にあって、誰が得をしてきたか?
世界中百ヶ国を取材してきた著者が、現地の雰囲気や地元の人びとの声に耳を傾けながら、戦争と混乱を生み出す「戦争屋」の正体を追う。
図式的に言えばバイデン前政権まで、ネオコンが政権内部に深く食い込み、軍需産業を提携し、総力として戦争経済を成立させてきたと言えるが、イスラエルの軍事的暴走が始まって以後、アメリカの保守の岩盤であるMAGAナショナリストに深い亀裂が入った。
タッカー・カールソン、マジョリー・ティラー・グリーン下院議員ら有力なトランプ支持者が、トランプの中東政策を批判し袂をわかった。
下院の共和党議員の一部も、グリーン議員らの動きに同調し、とくにナンシー・メイス下院議員は、トランプ政権による米軍地上部隊派遣の可能性を強く非難した。
そして、米軍がイランに派遣される場合は新たな戦争予算に断固反対すると警告し、「地上部隊をイランに派遣するなら、予算案には反対票を投じる
Ķķĵ
Kkkķ
若い保守派のトランプ離れも起きている(ワシントンポスト、3月26日)
L方、多数の保守的な共和党員たちは、トランプ大統領のイラン攻撃を支持しており、エバンジュリカルの伝道師フランクリン・グラハムは、トランプがイスラエルを核攻撃から救ったと述べた。
3月25日にテキサス州グレープバインで開催された保守政治行動会議(CPAC)の年次会合に出席した共和党員は、イランに対する米国の攻撃を概ね支持した。
誰が裨益したかの問題に戻ると、軍事産業と結びつきペンタゴンと契約を重ねるハリー・エリソン(オラクル)、マーク・ザッカーバーグ(メタ)、ジェフ・ペゾス(アマゾン)、サム・アルトマン(オープンAI)などのAI起業家は、イスラエル批判を控え、ひたすらビジネス利権にありつくためトランプ政権に激烈に食い込んだ。
共通項があることにお気づきだろう。
ハリー・エリソン、マーク・ザッカーバーグ、ジェフ・ペゾス、サム・アルトマンの列にラリー・ペイジ、セルゲイ・ブリン(この二人はグーグル創設者)らはユダヤ人である。ついで言えばスティーブ・スピルバーグ、ブリンケン前国務長官、ゼレンスキー(ウクライナ大統領)、エマニエル前駐日大使らもユダヤ人である。
ユダヤエリートがかならずしもユダヤ人を代弁するわけでもなく、かれらが熱烈にイスラエル支持でもないが、「そこにビジネスの展望が拓け、AIの開発に役立つのであれば」、戦争は発明の母につながる、というわけだ。
とりわけオラクルのトランプ政権への食い込みはよく知られる。英国のブレア元首相のシンクタンクは各国の政府にデジタル統治の助言を行っているが、ラリー・エリソンが資金援助をしている。
「彼は国家規模のデータ統合やAI活用を強く推進してきた実業家であり、オラクルは政府向けクラウドとデータ基盤を提供する企業」だ(47p)
オラクルはTIKTOK買収の旗振りであり、ワーナーブラザース買収に踏み切った背後にあり、CEOの「ユダヤ人シオニストの億万長者ハリーは、イスラエル軍の最大の個人寄付者でもある」。(75p)
こうしたユダヤコネクション、トランプ選挙資金では360億円を献金した。
アメリカ政治のややこしい、輻輳したユダヤ人団体の関係を、本書は人脈を基軸に説明し、伏魔殿の謎の解明に挑んでいる。
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。