エヌビディアの最新GPUや設備がなぜ中国へ渡ったのか 偽造、ダミー、謎の合弁企業を通じて密輸専門の中国人グループが暗躍
6月30日、台湾の基隆地方検察は、GPU最先端「エヌビディア」の高性能半導体およそ2200万ドルを中国、香港、マカオに密輸した容疑で台湾のハイテク企業幹部らを拘束した。そのなかにシリコンバレーのAI企業大手「スーパーマイクロ」の台北支社が含まれていたことは述べた。
このスーパーマイクロコンピュータ社は、カリフォルニア州シリコンバレーに拠点を置く、売上高350億ドルのサーバーメーカーである。AIブームの波に乗って急成長を遂げてきた。
ところが、この会社は同時に「密輸」を特異とする怪しげなハイテク企業であることが鮮明になった。
不正経理、未開示の関連当事者取引の証拠、制裁措置や輸出管理の不備、顧客に関する証拠が発見され、2018年にはナスダック市場から一時的に上場廃止となっている。2020年1月にナスダックに再上場することができたものの、七ヶ月後の同年8月、SECはスーパーマイクロを「広範な会計違反」で告発している。
いわば札付き、スーパーマイクロ社はSEC(米国証券取引委員会)との和解金1750万ドルを支払ったが、まったく懲りずに、「不適切な収益認識」、「未完了の売上の認識」、「内部会計統制の回避」を再開していた。
営業記録によると、殆どがミウチの取引で、企業として営業をしているかのようなパフォーマンスを繰りかえしていた過ぎない。この会社と関連企業は梁をなのる中国人の三兄弟が運営し、23年には台湾の「リードテック」に投資した。ところが、両者の具体的な取引に関しては一切公表されていない。
スーパーマイクロは、自社の液冷技術が「業界に革命を起こす」ものであり、「競争上の優位性」があると主張したが、実際には「リードテック」製品であった。
さも優秀なAI製品をつくっているように宣伝し、ニッチの市場を狙った。
すなわちロシア、イラン、中国、つまり「誰も手を出さない」市場をターゲットに法律違反も何のその、2006年にスーパーマイクロ社は、イランへの輸出禁止部品の輸出という重罪で有罪を認めた。
▼不正輸出は露西亜、イランへ。トルコにペーパーカンパニィを設立
2022年2月、ロシアがウクライナに侵攻すると、米国政府は高性能コンピューターおよび部品のロシアへの輸出制限と禁止措置を課した。スーパーマイクロ社は、自社製品の一部が輸出禁止の対象となっていることを明らかにし、戦争開始前日からロシアでの販売をすべて停止し、「ロシアからの収益は一切計上していない」と述べた。
ところが、輸出入取引を調査した結果、ウクライナ侵攻以降、スーパーマイクロ社のハイテク部品のロシアへの輸出が約3倍に急増していた。米国政府の警告によると、侵攻以降、スーパーマイクロ社がロシアに輸出した製品のほぼ3分の2は、ロシア軍が戦場に転用する可能性のある「優先度の高い」部品に該当する。
当初はカリフォルニアの販売代理店を通じて行われていたが、その後、新たに設立された3つのトルコのペーパーカンパニーを通じて行われ、トルコ当局が手入れして、発覚した。
すると次には3000万ドル相当のスーパーマイクロ社製部品を、香港のペーパーカンパニーを経由し、ロシア最大の軍民両用チップ輸入業者に出荷された。このロシアの輸入業者は現在、OFAC(米国財務省外国資産管理局)の制裁対象となっている。
2016年以来、スーパーマイクロはファイバーホームという中国国営企業と合弁事業を行っている。このファイバーホームは中国新彊ウイグル自治区における「人権侵害と虐待」、「ハイテク監視」、「少数民族コミュニティへの弾圧といった活動に関与しているため、米国政府がブラックリストに載せていた。
スーパーマイクロは、ファイバーホームが2020年に米国政府の監視対象リストに掲載された以後も、1億9600万ドル相当の高度なコンピューター部品を販売してきた。
こういう悪徳企業が業界で暗躍しブローカーが蠢いているのも、AI最前線の実態である。
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