東アジア歴史文化研究会のブログ

日本人の素晴らしい伝統と文化を再発見しよう

中国の人権弾圧に、いまこそ憲法9条派は立ち上がれ(黄文雄の歴史から読み解くアジアの未来)

東アジア歴史文化研究会

2015年7月15日

◎中国、人権派弁護士ら連行120人に 暗黒の金曜日事件
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150714-00000015-asahi-int

7月13日のニュースですが、最初の報道では30人程度だったのがあっという間に120人になりました。人権派弁護士が大量に拘束されたのです。

今回のターゲットとなったのは、北京鋒鋭弁護士事務所に所属している弁護士たちと、その関係者でした。当局側の表向きの罪名は、「2012年以降40件以上の政治事件を煽り立て社会秩序をかき乱す犯罪一味」だそうです。

具体的な事例として、2015年5月黒竜江省内の駅で男性の乗客が警察官に射殺された事件を挙げています。
http://www.recordchina.co.jp/a108743.html

これは、国際的にも報道され注目を浴びたもので、幼い子供3人と年老いた母親を連れて列車に乗ろうとした男性が、警察官とささいなことで揉めたことで警官が男性を射殺した事件でした。事件直後は、中国のネットでも警察官がはやり過ぎだとの意見が多く、政府に調査を求める声が上がり、最終的には黒竜江省の役人がトカゲの尻尾きりで停職処分にされただけで終わったようです。

どうやらこの事件についての調査も、今回弁護士を大量に逮捕された事務所が請け負っていたようです。事件についての徹底調査を求めるなどと、ネットユーザーが騒いだことについても、弁護士たちが金で雇ったさくらであり、社会秩序を著しく乱したというのが政府の言い分です。

この事務所は、中国内の弱者の支援を主に買って出ていたようで、そこに目をつけられたのでしょう。なかでも事務所の主催者である周世鋒氏や著名な女性弁護士の王宇氏などは、農民工や陳情者たちの支援を中心に活動していました。その意志に賛同した所属弁護士や関係者たちが、今回の摘発のターゲットとされたのです。

13日、弁護士大量摘発のニュースをリアルタイムで流したNHKの放送は、中国では2分間放送が中断される事態もおこりました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150714-00000064-san-cn

このニュースはあっという間に世界に流れ、日米はすでに懸念を表明しています。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150713-00050051-yom-pol&pos=5

中国政府の政治犯に対する拷問は有名です。全裸にして殴る蹴る、真冬に全裸で冷水を浴びせる、睡眠を奪う、食事を与えない、手錠をつけて天井から吊るして放置するなど、様々な証言が得られています。ちょうど今年5月にそうした記事が掲載されたばかりでした。
http://www.iza.ne.jp/kiji/world/news/150513/wor15051317010030-n1.html

今回は大量拘束ということで、世界の注目を浴びましたが、人権派が逮捕されるというケースは習近平時代から始まったものではありません。かつて、何度も同じことがありました。それは、法についての考え方と人権についての文化の違いからくるものでしょう。

中国はプロレタリア(人民専制)の国として、人々の「生存権」は「人権」以上に大切にしなければなりません。社会秩序を乱し、人民の「生存権」を乱すような人権派弁護士は、全員逮捕することで、13億人の「生存権」を守ることになる、という建前なのです。それが、13億人に対する責任であり、天命なのだという独特の屁理屈です。

こうして、逮捕され続けている人権派弁護士たちですが、その中でも最も悲惨なケースは、北京で活躍していた人権派で知られる著名な弁護士で、法輪功の支援をしていたことでもしられる高智晟氏です。

彼は貧しい農民の出身ながら、独学で弁護士となり北京で活躍していた立身出世の人物でした。人望も人情も厚く、まさに弱者の支援のために弁護士になった人でした。そんな彼が二度に渡る逮捕と拘束を経て釈放されたときには、見るも無残な廃人となっていたのです。

拘束されていた14ヶ月の間に何をされたのかは、本人が語ることはできません。言葉を話すことさえできなくなって帰ってきたのです。歯は抜け落ち、やせ細り、栄養失調による震えやマヒ、言語失調、様々な疾患に併発し廃人にされたのです。

彼の家族はアメリカに避難しているため今のところ無事で、彼は海外渡航が許されず国内の親戚の家で療養しているとのことです。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kimuramasato/20140819-00038399/

習近平は「大虎作戦」(大物の汚職追及運動)で、次々と政敵を逮捕し罪人に追いやってきました。今回逮捕された弁護士たちも、高智晟氏と同じ運命をたどるのか、または、大虎計画で逮捕された周永康氏などと同じ運命をたどるのか。小物だと見られた人々はすでに釈放されていますが、メインターゲットとなった王宇氏らがすぐに釈放されるとは思えません。

中国の独裁政治は、北朝鮮あるいはテロ組織による恐怖政治となんら変わりません。中国人の富裕層は資産を海外に移して、家族も海外に脱走させている理由がこれです。とにかく最も中国を嫌っているのは中国人なのです。

今回は、世界の注目を浴びているということもあるので、世論が少しでも逮捕された弁護士たちの擁護になることを願いますが、この事件だけでも、中国が世界の「普遍的価値」とはまったく違うことがわかります。

7月15日には安保関連法案が強行採決される見込みだといいます。護憲派の人たちがこの法案を「戦争法案」だとして反対するのは結構ですが、中国の自由、人権、言論への弾圧に対して抗議の声を上げて立ち上がったという報道がまったくないのが不思議です。

ちなみに、日本政府としては「自由、基本的人権の尊重、法の支配など国際社会における普遍的な価値が保証されることを強く求める」と中国を批判しています。
http://www.sankei.com/politics/news/150714/plt1507140008-n1.html

結局、護憲派にとっての平和とは、自分たちだけが良ければいいということなのでしょうか。かつては「憲法9条を世界に広げる」といった理念も聞かれましたが、しかし日本人拉致を防げず、北朝鮮の核武装も、中国の覇権主義も止めることはできていません。

いまこそ護憲派の方々は、北京の天安門広場の前で憲法9条を振りかざして、人権派弁護士たちの釈放と、中国の覇権主義を止めるようにデモを繰り広げるべきではないでしょうか。それでこそ、彼らの「憲法9条で世界平和」という主張に、少しは説得力が出てくるはずです。