東アジア歴史文化研究会のブログ

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習近平演説「中国、つぎの百年」は何を意味するのか 中国共産党王朝は、建国72年だが、まだ命脈を保つ?(宮崎正弘国際情勢解題)

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中国の各王朝史の寿命を見ると(百年以上続いた王朝に限る)、前漢が214年間。間に「新」を挟み、後漢が197年である。ついで隋と替わっての唐は289年、北宋が167年、南宋が149年、(モンゴルの元の92年を挟んで)明が276年、清が同じく276年、そしていまの王朝(中国共産党支配を「共産党王朝」と考える)は、現時点までに72年となっている。

最長寿命を誇ったのは唐王朝で、実に?川幕府よりも長い289年、しかし漢王朝は前漢と後漢をあわせると411年間である。

2021年7月1日、中国を支配する全体主義独裁の中国共産党創設百周年を迎えて盛大な式典が行われた。この日は、香港返還24年(中国は「香港回収」と呼ぶ)、そして香港国家安全法施行から一年である。

天安門の楼上に立って習近平は長い演説を繰り出したが、その中に「百年」という言葉は十数回も出てくる。なかでも、「中国共産党の百年の亘る奮闘の輝かしい歴史を振り返れば、中華民族の偉大な復興の明るい未来が展望できる」として、「小康社会を構築し、貧困問題を解決した。次の百年は『社会主義現代化強国の全面的な実現』という次の百年に向けて意気盛んに邁進するという奮闘目標を厳かに宣言する」

この目標は中段でも繰り返されている。

「第一の百年における奮闘の目標を実現し、第二の百年では奮闘目標の戦略的計画を明確に実現する」とし、それは「党と国家の事業は歴史的成果をあげ、歴史的変革を興し、中華民族の偉大な復興を実現するため、より整った制度を保障し、堅実な基礎を、自発的精神力」等々、まったく具体的な政策目標のない、抽象的概念が羅列された。

ようするに『中華民族の偉大なる復興』という習のマニフェストが美辞麗句にちりばめられただけで、聴衆が居眠りをしていたのも、宜なるかな。

とらえどころのない、具体的な数値目標もない、空疎で、曖昧な語彙は、感動を呼ばない。人々を沸き立たせる、燃えるような訴えがないのだ。

貧困問題を解決した? 貧富の差は拡大しているのが現実である。

外国の苛めと断固戦う? 周辺国をいじめているのは自身ではないのか。

台湾統一などと傲然と言い放つのは、かえってアジア諸国を戦慄させ、中国を警戒する。つまり世界が中国を敵対勢力と見ているのに、その矛盾の認識が出来ていない。自己中心主義は客観的判断力を摩滅させている。


▲中国が「平和」勢力であり「自由」で「民主」の国などと言われても

習近平演説は「中国は平和、開発、公正、正義、民主、自由という全人類の共通価値観を守る」としながら、一方で「台湾統一は共産党の任務」であり、「中国的社会主義とはマルクス主義に基づく」のであり、そのためには「世界一流の軍隊を構築する」などと文脈的にみても非論理的作文となっている。

中華ナショナリズムの原則から言えば外国輸入のマルクス思想が、中国伝統の思考とは合致しないことは、すでに多くの中国知識人によって語られた。

つい先般まで掲げられていた「2025 中国製造」の目標は謳われず、GDP目標値も言及がなかった。

ということはトウ小平の「改革開放路線」を継承した江沢民の「三つの代表」、胡錦涛の「小康社会の実現」も婉曲に、しかし明確に否定され、毛沢東時代に逆戻りを宣言したことになるだろう。

IT技術を駆使して全国民監視態勢をしっかりと敷いた独裁国家は、そのネット網を突破する勢力が台頭することによって、磐石と見られる共産党支配体制がもろくも崩壊する可能性は否定できない。

すなわち軍のハッカー部隊がダミーで展開しているハッカーの技術を、内側に向けて行うと共産党が磐石と過信する監視態勢がいとも簡単に崩れるのである。