東アジア歴史文化研究会のブログ

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【断末魔の中国】痛烈批判しながら実際は「カネ重視」!? 米中関係の表と裏 バイデン政権の密使による秘密交渉、狙うは「競合的共存」か (熾烈!米中“激突”へ)

東アジア歴史文化研究会

2021.10.13
バイデン大統領は、習主席の中国との「競合的共存」を維持する考えだ(AP)

ジョー・バイデン米政権は極秘裏に、ジョン・ソーントン氏を中国へ派遣し、北京に長期間滞在させて王岐山国家副主席や、劉鶴副首相と面談させていたとされる。

ソーントン氏は「第2のキッシンジャー」と言われる。ウォール街出身で、清華大学で教鞭(きょうべん)も執ったほどの中国通で、ゴールドマン・サックスの共同会長でもあった。

そのうえ、ソーントン氏はファンド経営者であり、外交はともかく経済的には「米中の結び付きの維持拡大路線」の実践者である。ハト派のシンクタンク「ブルッキングス研究所」には、「ソーントン・チャイナ・センター」がある。

バイデン政権は、この人物を「密使」として頼りにし、秘密交渉を担当させているという。米経済界は、ウォール街も、巨大IT「GAFA」も、中国とのビジネスを重要課題としている。

しかし、米国の世論、議会は「中国批判」が喧(やかま)しい。

議会多数派は、中国当局によるウイグルでの人権弾圧を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と決めつけた。

とはいえ、現在の米国世論は他の論争に熱中し、「中絶反対」「LGBT」などで左右の分裂が激しく、3兆5000億ドル(約389兆9000億円)の財政支出を目指す予算案審議がピークを迎えた。このため、「北京冬季五輪ボイコット」運動に熱が入らない。

米国で起訴され、カナダで身柄拘束された中国通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」副会長兼最高財務責任者(CFO)、孟晩舟被告の起訴効力停止について、バイデン政権は「司法権の独立」と口を挟まなかった。

表舞台では「痛烈な中国批判」、裏では「カネ重視」。つまりバイデン大統領の米国は「中国との競合的共存」を維持する考えである。

国家安全保障問題では、米国主導の日米豪印による戦略的枠組み「QUAD(クアッド)」と、米英豪による新たな安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」が本格化しつつあり、中国の「ワクチン外交」と「戦狼外交」の失速を見つつ次の判断をしていくだろう。

米中が外交戦で競ったのはワクチン援助合戦だ。世界最悪の死者を記録し、対外援助に遅れがちな米国の隙をついて、中国の王毅国務委員兼外相は1月にミャンマー、インドネシア、ブルネイ、フィリピンを歴訪、9月にベトナム、カンボジア、シンガポール、韓国を訪問して米国に対抗した。

一方、ウェンディ・シャーマン米国務副長官はインドネシア、タイ、カンボジアを訪問したうえで、中国・天津で米中外務高官会談の臨んだ。

ロイド・オースティン米国防長官は、シンガポールとベトナム、フィリピンを、カマラ・ハリス米副大統領は、シンガポールとベトナムをめぐって中国を牽制(けんせい)した。

だが、舞台裏で、中国のバラマキ作戦があり、アジアは米国依存度を低めている。


■宮崎正弘(みやざき・まさひろ) 評論家、ジャーナリスト。1946年、金沢市生まれ。早大中退。「日本学生新聞」編集長、貿易会社社長を経て、論壇へ。国際政治、経済の舞台裏を独自の情報で解析する評論やルポルタージュに定評があり、同時に中国ウォッチャーの第一人者として健筆を振るう。著書に『日本人が知らない 本当の路地裏中国』(啓文社書房)、『中国が台湾を侵略する日』(ワック)など多数。