東アジア歴史文化研究会のブログ

日本人の素晴らしい伝統と文化を再発見しよう

『台湾vs中国 謀略の100年史 なぜ中国共産党は台湾をしはいしたがるのか?』近藤大介著(ビジネス社) 孫文はいかさま師だったが、毛沢東は逆張りで成功した強運の持ち主

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一気呵成に読めるほど迫力がある。引き込まれるほど「面白く」読めたのも、「です。ます」調で書かれているからだ。

歴史が旋回した現場にいるような臨場感があるのは、近藤さんが、必ず現地に飛んで、本人や側近、当時を知る人たちに執拗にインタビューしているからだ。

なかでも李登輝、馬英九、陳水篇、蔡英文への直撃インタビューは、へぇ、こういうことも、聞き出したんだという「聞く力」である。インタビューは最初から相手を挑発してホンネを探ってみたり、相手の関心分野を最初に調べ上げて、そのことに突っ込みを入れてやがて本心を探り出す等さまざまな方法があるが、近藤氏は週刊誌記者三十数年のベテラン、まとめ方も抜群である。

そのうえ、李登輝元台湾総統がなぜ日本のメディアを優先し、むしろ日本を発言の絶好の場として活用していたことを、さらりと述べている。評者(宮崎)も李登輝総統とは十回近くインタビューしているので、よく分かる。

印象深く面白かったのは、陳水篇が台北市長時代のインタビューだ。これまた評者も同じ経験があるので、雰囲気がリアルに伝わってくる。

思い出した。台湾の新聞局幹部から頼まれて、陳水篇が台北市長時代だったが、来日時に日本の有力メディアで日本の有力政治家と対談したいので仲介して欲しいと言われた。某雑誌と話をつける前に、念のために聞いたのだ。「陳氏が日本で対談相手の望むのは誰か?」と。答えは「管直人」だった。がっかりして仲介するのをやめた記憶が突然甦った。

幾つかの重要な指摘がある。

まず中国共産党が党史を語る際に三つのポイントを省略していることだ。

百年前の第一回共産党大会はコミンテルンの主導で開催されたこと。モスクワから派遣されたマーリンが長い演説をし、毛沢東は幹部ですらなかったこと。そして、この大事な会議に創設者の陳独秀が参加して居ていないという事実。

もう一つは「労働者と農民の党を謳いながらも、参加したのは学者、教育者、ジャーナリストばかりであったこと。

コミンテルンの革命方式とは「以党治国」であり、少数の組織された暴力集団が独裁権力を握ることに他ならない。儒教の教えは「修身齋家治国平天下」だから、真逆の方向性に最初からあるのだ。

さて、一気に読んだとは言ったが、弐箇所ガツンと引っかかった。

ひとつは大東亜戦争を「太平洋戦争」と呼称している点である。もう一つは所謂「南京大虐殺」なる国民党がでっち上げた架空の事件を疑問視しつつも、日本軍は一万人の市民を虐殺したと無造作に書いている箇所だ。そんな事実はない。戦闘員を殺害するのは戦争だが、市民は保護するのが日本軍の鉄のような規律である、じっさいに南京入城後、中国人は安全圏を目指して、日本軍が占領した南京に「避難」してきた。

現在の日本のアカディミズムとジャーナリズムの世界では、依然として「大東亜戦争」は禁句である。

GHQの押しつけ史観は東京裁判、人道に反する罪、平和憲法。アメリカは民主主義の見本。だから日支事変は「日中戦争」と書かなければいけないことになっている。自らが科した自虐史観が出版界の語彙制限に繋がっているのである。

本書の骨格は両雄並び立たずのライバル物語を基層に、国民党vs共産党の謀略戦争という裏面を描いており、蒋介石vs毛沢東、蒋経国vsトウ小平、李登輝vs江沢民、馬英九vs胡錦涛、蔡英文vs習近平という構造を図式化し、物語風に歴史を綴ったポイントに特徴がある。

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内容紹介(出版社より)

なぜ中国共産党は台湾を支配したがるのか?
将介石vs毛沢東、将経国vsトウ小平、李登輝vs江沢民、馬英九vs胡錦濤
“国民党vs共産党”の歴史をヒントに、習近平のシナリオを読む。


【本書の内容】

未熟なリーダー・孫文/中国共産党と中国国民党は、ソ連を介在とした「兄弟党」
乱世のどさくさで出世した毛沢東/張学良によるクーデター「西安事件」
日中戦争に救われた中国共産党/旧満州で始まった国共内戦
共産党が「3大決戦」に勝った/打ち砕かれた毛沢東の早期台湾統一の野望
アメリカが介入しない範囲での台湾攻撃/中華民国が「中国の再統一を放棄する」状況に
将経国に最大限の譲歩を示したトウ小平/「共産党が勝者で国民党が敗者」という固定観念を逆転
李登輝総統による戦略的な中国挑発/人民解放軍の大規模演習で目覚めた台湾人
江沢民が台湾に仕掛けた微笑外交/「小三通」を条件付きで解禁

胡総書記と連主席の歴史的な会談/陳雲林・海峡両岸関係協会会長の訪台
台湾がWHO総会へのオブザーバー参加を勝ち取る/台湾の学生による反中「ヒマワリ運動」
66年目の「トップ会談」が実現/「李登輝チルドレン」の民進党主席
「韓国瑜・傀儡政権」をもくろんだ中国/台湾社会をめぐる3つの大変化
台湾の全面的な統一を半ば諦めた共産党


一、国民党vs共産党ーー創建世代の栄枯盛衰
第1章 中国国民党の誕生 1894年~1926年
第2章 中国共産党の誕生 1921年~1935年
第3章 蒋介石vs毛沢東1 1936年~1949年
第4章 蒋介石vs毛沢東2 1949年~1975年

二、台湾vs中国ーー三党の権謀術数
第5章 蒋経国vsトウ小平 1975年~1988年
第6章 李登輝vsトウ小平、江沢民 1988年~2000年
第7章 陳水扁vs江沢民、胡錦濤 2000年~2008年
第8章 馬英九vs胡錦濤、習近平 2008年~2016年
第9章 蔡英文vs習近平 2016年~2021年