東アジア歴史文化研究会のブログ

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習政権が招く“世界経済崩壊” 民間企業叩きと突然のTPP申請 「中国繁栄の貢献者」江沢民派の徹底的粛正 世界全体が貧しければ政権基盤は安泰「抱きつき自爆テロ」

東アジア歴史文化研究会

2021.9.25
2018年3月、TPP署名式に集まった各国閣僚(共同)

中国が世界経済を大きく揺るがしている。民間企業へのバッシングや巨額債務問題について、国際投資アナリストの大原浩氏は習近平政権が半ば意図的に危機を招いているとみる。寄稿の中で大原氏は、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加盟申請も、世界経済「窮乏化」の意図が垣間見えると指摘する。

中国の不動産開発大手、中国恒大集団は、主力債権銀行に対する9月20日期限の利払いを行わなかった。23日期限の利払いの一部実施は発表したが、今後期日が到来する利払いにどう対応をするのかは不透明だ。

これがリーマン・ショックのように世界市場に壊滅的な打撃を与えるのかは断定できないが、命からがら生き延びたとしても、「問題の先送り」に過ぎない。中国の抱える経済問題は極めて根深いためだ。

習政権によるアリババグループへのバッシングや、米テスラをはじめ外資系企業への嫌がらせなど一連の政策を見ていると、「意図的に中国経済を崩壊させている」としか筆者には思えない。

考えられる目的のひとつは、江沢民派(浙江財閥)などの徹底的な粛清である。江派が●(=登におおざと)小平の改革開放路線を受け継ぎ、「中国の繁栄の最大の貢献者」という存在であることは、習政権には目の上のこぶのようなものだ。彼らが築き上げた経済的繁栄もろとも葬り去ろうと考えているのではないだろうか。

習派も返り血を浴びるどころでは済まないかもしれないが、国営企業を中心とした国家主導の計画経済によって中国経済を再びもり立てることが可能だと考えている節がある。「言うことを聞かない民間エクセレントカンパニーよりも、言いなりになる国営ボロ会社」の方が望ましいということだろうか。

極度に中国が貧しかった大躍進・文化大革命時代の毛沢東の権力は絶大だった。「毛沢東回帰」を明確に宣言している習氏が「国民を貧しくしても、自らの権力を拡大する」路線を突き進むのはある意味当然だ。

1971年のキッシンジャー米大統領補佐官の中国訪問、72年のニクソン米大統領の訪中を経て、毛沢東の死後、79年のカーター政権時に米中国交はようやく正常化された。当時は中国の動向が日本を含む世界経済に与える影響はほぼゼロといってよかったのだ。

ところが改革開放を経て、2001年の世界貿易機関(WTO)加盟によって中国経済が世界に組み込まれた。

そして今回、突如TPPへの加盟申請が提出された。共産党の一党独裁である中国は、自由貿易協定の加盟条件などほとんど満たしていないから笑止千万なパフォーマンスともいえる。その後、加盟を申請した台湾の動きを察知した先制攻撃だったのかもしれない。

だが、思い返すべきは、中国がWTOに加盟したときも条件を満たしていたわけではなく、「将来条件を満たすという約束」によって加盟が認められたということだ。その後20年たつが、約束はほとんどほごにされている。

この悪しき先例があることから、中国がお得意さまであるマレーシアやシンガポールなどを通じてTPPを操ることができると習政権は考えているのであろう。

彼らは貿易の発展によって豊かになろうと考えているのではない。世界の中で中国だけが貧しければ、習政権の基盤が揺らぐが、世界全体が貧しければ安泰だ。だから、TPPに加盟して「世界経済を中国と一緒に奈落の底に落とす」のが目的だと考えられる。

要するに「相手に抱きつく自爆テロ」だ。中国恒大をはじめとする国内政策も、その発想の延長上で行われているのではないか。


■大原浩(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。