有名テニス選手が共産党大韓部に迫られていたと告白 中国版の#ME、TOOはネットから消されたが(宮崎正弘国際情勢解題)

国際面のゴシップを飾るのは張高麗という枯れた風貌の老人。
張高麗といえば、元副首相にして政治局常務委員だ。愛想のない、むっつりと暗い貌、江沢民、胡錦涛に媚びて大出世した。思想基軸のないカメレオン政治家。或いは風見鶏。俗語を使うと、その本質は「むっつりスケベ」。
11月2日、世界的なテニス選手として知られる彭帥が張高麗との不倫関係を実名で告白した。
彼女はウインブルトンで優勝したほどの花形選手であるうえ、個性的な美人である。
この告発文は、中国版の#Me、tooであり、すぐに投稿文は削除された。最高幹部のスキャンダルは、情報が統制されるからだが、見逃さなかった人たちが副次的にほかのネットへも拡散し、世界に伝達された。ただしフェイクの怖れがある。
投稿の原文ではテニス選手の彭帥(ペンスイ。35)が、張高麗元中央政治局常務委員兼副首相から性的関係を強要されたとするもので、そのうえ数年間、断続的に関係を持っていたとしたから、大衆が興味を持つのは当然だろう。
それって、愛人関係とも言うのでは?
中国は儒教の掟に則れば、貞操を守るのが女性の道徳、不倫は御法度とされるが、現代の中国では、そのようなモラルは存在しない。乱倫、不道徳、愛人を吹聴し、また愛人は旦那の贅沢を吹聴する。
日本の女性が描くような理想の結婚などは夢に近く、現実にはカネと権力を持つ男の愛人となることに多くの中国人女性は躊躇しない。
現代中国人の人生観のドライさは、老人でもカネがあれば、愛人となって貢がせ、稼ぐことに目的を置く。それゆえ、この告発は真偽のほどは不明だが、「数年にわたった愛人関係」ということだから、タイミング的に言えば別離のやりかたがまずかったのか、手切れ金がすくなかった?
まあ邪推はこのくらいにしておこう。
▼カネと権力に群がるのは中国人女性の特筆なのだ
問題は中国政治の本質である。
張高麗は貧農から身を起こし、厦門大学を文革期に卒業し、石油工業部に配属された労働者として出発。抜け目なく出世し、生産指揮部弁公室秘書、政治部共産主義青年団(共青団)総支部書記なった、1973年に中国共産党に入党した。
1984年、広東省茂名市党委副書記、中国石化総公司茂名石油工業公司総経理(社長)に就任した。このときから中国経済の躍動とともに階段を駆け上がり、権勢を極めることとなる石油派として台頭し第15回党大会で党中央候補委員に選出された。
以後はホップステップジャンプで、広東省党委副書記兼深?市党委書記に昇進。この時代に習仲勲の息子、習近平と知遇を得た。
山東省長、第16回党大会で党中央委員に昇格。山東省党委書記を経て、2007年に天津市党委書記。第17期1中全会で党中央政治局委員、江沢民側近だった曽慶紅(国家副主席)や周永康(党中央政法委員会書記)と「石油閥」の絆で結ばれた。
薄熙来が胡錦濤派との政治闘争に敗れて失脚するや、張高麗は胡錦濤に擦り寄った。このため一時は共青団人脈と誤認されたが、習近平・李克強指導部では派閥の均衡から党中央政治局常務委員に大出世を遂げたのである。
思い出したことがある。もうひとりのテニス好きだった副首相のことだ。
1980年代、中国テニス会の女王と言われたフナは、ときの副首相万里とテニス仲間と言われた。
万里は1980年から8年間、副首相、その後全人代常任委員長をつとめ「八代元老」の一人だった。当時、ブッシュ副大統領ともテニスを行い、かなりの腕前であることが知れ渡った。
テニスの女王、フナが1983年に米国へ亡命したとき、レーガン大統領は「自分の養女にしても、亡命を受け入れる」と檄を飛ばした。
亡命先がサンディエゴ、台湾の情報機関が後で支援したなどと言われ、じつは筆者、サンディエゴに取材に行ったこともあった(拙著『中国の悲劇』、山手書房、絶版)。
あのとき、真相は闇に葬られた。
今回のテニスチャンピオンの告発事件に遭遇し、フナ亡命事件を類推したのだった。
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