【マンション業界の秘密】不動産価格の下落は世界的兆候 中国はバブル崩壊、韓国も値上がり見込んだ人々の悲鳴が 早くても1年先…日本も逃れられない
インフレへの効果的な対策は利上げである。金利を上げると景気が悪くなって消費が衰える。すると企業は製品の値上げに躊躇するという図式である。その副作用として景気が悪化する。モノが売れなくなるから、当然の帰結だ。
景気が悪化すると、マンションをはじめとした不動産価格も下落する。すでにアメリカの一部では、住宅販売が低調になっている。
ヨーロッパでも景気後退は確実だ。原因はもちろんウクライナ戦争。エネルギー価格の高騰が景気に強い下落圧力をかけている。ECB(ヨーロッパ中央銀行)も重い腰を上げて金利を上げ始めた。
中国では不動産バブルが崩壊。マンション市場では「ローンを払っているのにマンションが完成しない」という現象が各地で表出。当局は躍起になって沈静化を図っているが、公的資金が注入される気配はない。
お隣の韓国ではマンション価格が下落に転じた。値上がりを見込んで購入していた人々の悲鳴が上がっている。
ここ10年ほど、不動産価格の上昇は世界的な傾向であった。その理由は、各国ともに競い合うように金融を緩和してきたからだ。不動産の売買で銀行融資が使われるのは、どこの国でも同じ。お金が借りやすくなれば取引が活発になり、価格も上昇する。
日本でも住宅ローンの金利が、変動なら1%未満が当たり前になっている。それもあって、東京やその周辺のマンション価格はこの10年、じわじわと上昇を続けてきた。ただ、値上がりしたといっても最大で2倍程度である。
シンガポールやロンドン、ニューヨークのマンションは東京の何倍もするからまだまだ値上がりするなどという幼稚な議論が散見された。確かに、ああいった街の超一等地はそうかもしれない。しかし、東京のマンション市場はそれなりに成熟している。供給量も多い。都心の新築タワマンなど完売していても半分近くが空室だったりもする。
世界各地のマンション価格が下がり始めても、それが東京に波及するまでには半年から1年のタイムラグがあるだろう。
その理由は、日本ではいまだにおかしな異次元金融緩和が続き、日銀総裁が交代しない限り正常化される見通しはないことが1つ。
さらに日本という国は何事につけ世界のトレンドが浸透するまでに遅れが生じる。特に不動産のマーケットの主役たちは50代以上のオジサンたちである。彼らは流行に遅れがちで、なおかつ保守的だ。
そういったことを考えると、価格下落を確認できるのは、早くても1年先か。だが、世界で見られる兆候は確実に日本にやってくる。
■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。
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