中国東方航空、中国南方航空がNY株式市場から『撤退』 厳しい報告義務、上場維持コストのわりに上場メリットが薄い(宮崎正弘国際情勢解題)

本音は企業情報、とくに財務報告の不透明性が暴露され、アメリカから言われる前に自ら逃げ出すのだ。
1月13日、中国東方航空、中国南方航空がNY株式市場から『撤退』すると発表した(チャイナディリー英文版、1月14日)。
厳しい報告義務、上場維持コストのわりに上場メリットが薄いという理由をつけた。
NYSEからコメントはないが、バイデン政権になってからも在米中国企業への監査が厳しくなっており、また虚偽申告やデタラメな会計決算など、中国へ進出した米国経理監査法人はネをあげていたのだ。
ラッキンコーヒーは売り上げ水増し、通信のチャイナモバイル、チャイナテレコムなどもNY市場から排除された。
中国企業の米国株式市場上場は22年8月時点で273社だった。
有力企業の中国人寿保険、シノペック、同シノペック上海石化、アリババ、ペトロチャイナの5社は同月に上場廃止となったが、他に「廃止リスク」のリストにはJD、百度など有力企業の名前がある。
米国では「サーベンス・オクスレー法(SOX法)」に基づき、上場企業は監査についてPCAOBの審査を毎年受ける義務がある。PCAOBを監督する米国証券取引委員会(SEC)は、中国と香港がPCAOBの検査に協力していないことを問題視し、米中の規制当局はPCAOBによる中国企業の監査情報へのアクセスについて協議を進めた。
PCAOBとは公開企業会計監視委員会のこと。2002年にアメリカ合衆国の上場企業会計改革および投資家保護法に基づき設置された非営利法人である。
公開会社等の株式発行者に対する監査を監督することを通じ、投資家利益の保護及び監査報告書発行における公益性を高めることが目的。
米国では2020年に成立した「外国企業説明責任法(HFCAA)」に基づき、PCAOBによる監査を完全に実施できない企業を、SECが「委員会指定企業」として指定している。委員会指定企業に3年連続で指定された企業の証券は、米国の取引所での取引が禁止される。2022年8月26日には159社の中国企業が指定された。
率直に言えば中国の会計検査など、西側の基準があてはまらない。
日本の税務署は重箱の隅を突っつくように厳しい監査があって年商三千万円以下の会社にまで税務署が監査に入る。追加追徴金が課せられる企業も多い。
中国では売り上げの水増し、経費のチョロマカシ、二重帳簿、税務職員への賄賂は「常識」であって、その賄賂には相場がある。
究極的に税務監査など、どうにでもなる世界だから、株式取引などといっても、インサイダー取引が横行し、株価操作なんて日常茶飯事。
中国企業はアメリカでも、この「中国モデル」が通用すると思ったのだ。
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