中国政治局常務委員トップセブンの中枢はどうなっているのか(宮崎正弘の国際ニュース・早読み)

5月26日
そして中国共産党最高レベルの主流派がみえてきた
習近平の常務委員会の中枢は王岐山と愈正声。これで『太子党』三人組だ
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政権の座に就いて三年、「史上最弱の皇帝」といわれた習近平は着々と権力基盤を築いている。王岐山はどちらかと言えば金融経済のエキスパート、まだ「救急車」という渾名があるように、リスクが出現すると、たとえば北京五輪直前の北京市長というリリーフを勤める。米国との戦略対話も、王岐山が中国側代表だった。だから王岐山は当初、首相となって経済に専念するだろうと予測された。
ところが習近平は、この頼りがいのある兄貴分を「虎退治」の責任者に充てた。習政権の掲げる『中国の夢』は抽象的で分かりづらいが、反腐敗キャンペーンは庶民からも喝采をあびて、腐敗分子が次々と失脚していく様子に大きな期待が集まる。すでに高層の幹部ら400名前後が失脚した。
むろん、このやり方に党内の反発と上海派、守旧派の憤懣、怨念を招くが、王岐山は強行にキャンペーンを推進している。「蠅も虎も容赦はしない」というわけである。
反腐敗は、実際上の権力闘争であり、終局の目的は江沢民率いる上海派を追い詰め、かれらが握った「鉄道」「石油」の利権を取り上げることに成功した。次はまだ上海派が牛耳る『通信』と『金融』の利権争奪である。また守旧派が握る『電力』の利権も、李鵬の娘、李少琳の側近等を拘束して、じわり追い込んでいる。
軍事方面では前号でも取り上げたように、副主席の氾長龍の一本釣りを試みて、軍事委員会の主流派である団派出身者と分断をはかりつつある。また個人的に習の軍事戦略上のアドバイザーは劉源と劉亜洲で、この二人が「プライベートシンクタンク」だが、ともに太子党である。太子党の権力基盤がしっかりと見えてきたのだ。
▼共産党最高権力は常務委員会だ
共産党の最高レベルは「政治局常務委員会」で、七人で構成されているが、この掌握である。依然としてトップセブンのうち、四人が上海派だが、張徳江、劉雲山、張高麗をそれぞれ手なづけつつあり、張高麗をシルクロード構造の責任者に充てた。宣伝担当の劉雲山には香港問題を担当させ、張徳江にはやっかいな北朝鮮問題を。のこる三人のうち、明確な団派は李克強首相だが、経済政策の立案という権限を半ば奪い、AIIB、BRICS、そしてシルクロード構造の三本柱は習近平の主流派が主導する体制となった。
ならば、政治局常務委員会はいかなるパワーバランスに変化しているのか。「太子党」がトップセブンの中枢を押さえ込んだようである。つまり愈正声と王岐山は習近平と同じく太子党であり、たよりになる兄貴分たち。愈正声は上海派と見られていたが江沢民の影響力低下の流れに沿って、いつのまにか、習近平にべったりとなっていた。
やはり「太子党」という特権階級の結びつきが想像より強いということだろう。しかし反面で、太子党は党内の見えない恨みをかっていくこともまた事実であろう。
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