訪中したブリンケン米国務長官(左)は秦剛外相と会談した(ロイター)
アントニー・ブリンケン米国務長官は18日、中国・北京を訪問した。ジョー・バイデン米政権は、台湾に対する軍事圧力を強め、ウクライナに侵攻するロシアへの接近を続ける習近平国家主席率いる中国を厳重警戒している。ブリンケン氏は同日午後、秦剛国務委員兼外相と5時間半の会談に加え、約2時間のワーキングディナーも実施。両国の利害が激しく対立する安全保障分野について議論した。米軍と中国軍の軍用機や艦船が〝異常接近〟する事態が続くなか、不測の事態の防止に向けた意思疎通の重要性を強調したが、米中衝突は避けられるのか。ジャーナリスト、加賀孝英氏の最新リポート。
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「中国が危ない。習主席が暴走する危機的状況だ。『台湾侵攻作戦がひそかに始動した』という情報があり、米国は緊張している」
外事警察関係者は語った。
ご承知の通り、ブリンケン長官が18、19日の日程で訪中した。秦氏をはじめ、中国外交トップである王毅政治局員とも会談するとみられる。
米国務長官の訪中は実に5年ぶりだ。全世界が注目している。2021年1月のバイデン政権発足後、国務長官を含めた閣僚の訪中は初めてだ。
ブリンケン氏の訪中の狙いは、次の3つだ。
①中国の暴走(台湾侵攻など)を防ぐこと。
②ウクライナ侵略で敗戦危機にあるロシアに対し、中国に殺傷性の高い武器などの支援をさせないこと。
③偶発的な米中軍事衝突など、「危機的状況」回避に向けた対話のチャンネルを確保すること。
外務省関係者は「今回の訪中は、5月のウィリアム・バーンズCIA(米中央情報局)長官の極秘訪中と、6月のダニエル・クリテンブリンク国務次官補(東アジア・太平洋担当)の北京訪問で、やっと実現した。だが、米中両国は台湾問題で完全決裂しており、大きな成果は見込めない。米国はそれでも米中外相会談を要請した。要は、『米国がそれだけ、今の中国に危機感を持っている』ということだ」と語った。
前出の外事警察関係者は「米中関係は一触即発だ。ブリンケン氏の訪中は今年2月に設定されていたが、直前、中国の『偵察気球(スパイ気球)』が米本土上空を飛行して延期となった。米戦闘機に気球を撃墜された習氏は逆ギレして、軍部や関係部署に『米国を潰せ、報復しろ!』と命令した。その作戦行動が現在も進行中だ」といった。
米中の緊張状態は、次の通りだ。
◇南シナ海の国際空域で5月、米空軍の電子偵察機の機首正面を中国軍戦闘機が横切って飛行を妨害した。台湾海峡で6月、米海軍ミサイル駆逐艦に中国軍艦艇が約140メートルまで異常接近した。ミサイル駆逐艦は減速して衝突を回避した。同様の危険行動が頻繁に起きている。一連の軍事行動は、中国軍による偶発的衝突を装った開戦工作だ。
■台湾・尖閣で暴走危機 プルトニウム脅威
◇習氏は6月に入って、「極端な状況(=開戦危機)に備えよ」という言葉を連発している。中国版ツイッターの「微博(ウェイボー)」で6月9日、衝撃の動画が拡散した。男性が「台湾問題をこのまま放置することは中華民族の恥だ!」と開戦を訴え、14億人民を扇動した。中国政府の関与が推察される。
さらに中国とロシアが結託した、驚愕(きょうがく)の事態まで起きている。以下、日米情報当局関係者から入手した情報だ。
「習氏とウラジーミル・プーチン大統領は3月の中露首脳会談で、『原子力分野での協力拡大』で一致した。これはロシアが中国に高濃縮ウランを提供するものだ。中国が近く稼働させる高速増殖炉で使用すれば、核兵器用のプルトニウムを獲得できる。ブリンケン氏は直後、『(ロシアの協力で中国は)年間50発の核弾頭を製造できる』と懸念を表明した。中露は、米国や台湾、同盟国を、核兵器で脅しに入っている」
「沖縄県・尖閣諸島周辺に侵入する中国海警局船に昨年11月以降、大型の76ミリ機関砲が搭載されている。米紙ニューヨーク・タイムズは先日、『米海軍駆逐艦より大きな脅威』と報じた。尖閣防衛は厳しくなっている。一方で、中国経済は不良債権が積み上がり、失業者が爆発している。万が一、プーチン氏がウクライナ侵略で敗北、失脚すれば、習氏も道連れだ。生き延びるための挽回策は、台湾侵攻や尖閣強奪などの『歴史的偉業達成』ぐらいしかない」
ウクライナ侵略は、今月始まったウクライナ軍の大規模反撃で「ロシアの敗北濃厚」という重大局面を迎えた。
日本にも危機が迫っている。岸田文雄政権は本当に大丈夫なのか。国民と領土を守り切れるのか。少なくとも、邦人奪還のために訪中しながら、中国政府や共産党幹部と笑顔で握手しているような外相は交代させた方がいい。
■加賀孝英(かが・こうえい) ジャーナリスト。1957年生まれ。週刊文春、新潮社を経て独立。95年、第1回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム大賞受賞。週刊誌、月刊誌を舞台に幅広く活躍し、数々のスクープで知られている。
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