何かと話題のイーロン・マスク。こんどは「ロボット軍団」の構築を計画している。
基礎的な製造技術は蓄積された企業として、マスクはテスラ、スペースX、そしてAI─xを経営している。AI搭載のロボット兵士製造は難しい仕事ではない。脱線だが筆者が『軍事ロボット戦争』(ダイヤモンド社、絶版)で問題を提議したのは40年前、当時、防衛庁幹部にも回覧したが、冷笑で迎えられた。
軍事ロボットで現在最先端を突っ走っているのは米国ではなく中国である。
マスクはテスラにおける議決権を25%まで引き上げようとしている。人型ロボットやAIシステムを開発する過程で、強い管理が必要だからだと主張している。
https://www.youtube.com/watch?v=FuCEc_j8HgU
マスクはテスラ役員会でガバナンスが問題だから将来の方向性について十分なコントロールを維持することが最大の目標とする。したがってロボット軍団の運営方法について強い発言権を持たなければ、目標達成に困難をともなうとした。
テスラの人型ロボットは自動運転車の技術を転用し、2足歩行汎用人型ロボットである。しかし「人型ロボット」は多くの類似がすでに登場しており、珍しいことではない。テスラの「オプティマス」は、2腕、2足、5本指、頭部を持つロボット。人間と同じタスクをこなし、危険な作業や退屈な単純作業など「人間がやりたがらないあらゆる作業を行うロボット」となる。マスクはこれを将来のペンタゴンとの契約を視野に軍事ロボットへの拡大を狙ったことになる。
EVは落ち目の坂道にあるとはいえ、テスラを2,000万台出荷し、ロボタクシーを100万台生産し、オプティマス・ヒューマノイドロボットを100万台製造することを目標とする。
マスクは「いずれ火星で生き、火星で死ぬのだ」とも言っている。
テスラのヒューマノイドロボット「オプティマス」は、既に簡単な作業に成功している。、新型「オプティマスV3」は2026年第1四半期に登場するらしいが、エンジニア的な問題は手と腕の部品設計が最も難しいという。
マスクは、ヒューマノイドロボットが肉体労働を代替し、貧困を削減することで社会を変革できると主張してきた。人型ロボット「オプティマス」を医療分野に優先的に投入して、「素晴らしい外科医」が普及すれば、仕事が選択可能となり、誰もが質の高い医療を受けられると示唆した。つまり当面の優先分野は医療である。
▼ロボットは失業をもたらす脅威ではあるが
折から広州で開催されていた第138回広州交易会(2025年10月15日~)では、先進的なロボットの展示が注目を集めた。給仕ロボット、球体ロボット、急な坂を登るAI搭載のロボット犬などだ。
総合的な見本市だから3万2000社が出展した。会場にはサービスロボットゾーンが設けられ、46社の大手サービスロボット企業が先端製品を展示した。
中東からきたバイヤーは、「中国はロボット産業において主導的な存在となっています。これらのロボットの多様性と品質に感銘を受けました。中東諸国で歓迎される製品がいくつかあり、中国企業との協議も開始しています」と称賛する。関心をあつめたロボットにひとつはDOBOT社製のマッサージロボットだった。中国式マッサージを体験しようと来場者が列をなした。
国際ロボット連盟(IFRO=本部フランクフルト)報告書に拠れば、中国では2024年末までに産業用ロボットがはやくも200万台以上稼働し、世界一の規模となった。中国のロボットは自動車、電子機器、金属機械、家庭用サービス、医療、教育といった分野で幅広い応用の可能性を示し、研究実験得レベルから工場の生産ラインへと移行した。
最新データでも中国のロボット産業は2024年に約2,400億元(334億ドル)の収益を生み出し、2025年上半期には産業用ロボットの生産台数が37万台に達すると予測される。
嘗て産業ロボットで世界一だった日本、気がつけば量産で中国に追い越されていたが、医療用、とくにオペ用の遠隔操作ロボットでは、ドイツと並んで日本の技術はトップレベルにある。
さて中国人民解放軍は複数のロボット軍団が隊列を組み、群れで行動するオオカミ型の四足歩行武装ロボットを一般公開した。
従来の「犬型ロボット」と異なり、役割分担をしながら連携し戦闘を行う戦術が特徴で、人間の兵士やドローンと組み合わせることで攻撃や偵察能力を大きく高めるという。軍事専門家は、戦術面だけでなく敵兵への心理的影響も大きいと分析している。
この軍事演習は、中国西部を拠点とするPLA第76集団軍の二つの機動化歩兵中隊(車両で移動する歩兵部隊)が参加し、丘陵地帯で行われた。
目的は、無人機や地上ロボットを従来の歩兵戦術に組み込み、実戦に即した協調運用の方法を探ることにあった。演習では自動小銃(中国軍の最新型突撃銃)や携帯式ロケットランチャーを構えた兵士たちが整然と進軍し、その横を同様の武器を背負ったオオカミロボットが歩調を合わせて進んだ。
▼ウクライナ軍が地上ロボットとドローンでロシア兵を捕虜にした
最新型では、背中にライフルを搭載した姿も映し出された。オオカミロボットは単独ではなく、複数台が群れを成して進む。先頭は偵察を担当し、後方は火力支援を行うなど、動きは明確に分業されている。
互いに位置を保ちながら進軍する様子は、まさに戦場における群れの戦術そのものであり、機械で構成された部隊が一体となって動く。周囲ではドローンが旋回し、遠隔操作による偵察や模擬自爆攻撃を実施。 操縦者は迷彩服を着込み、地形に溶け込みながら作戦を進めた。
オオカミロボットは、中国南方工業集団有限公司が開発し、2024年の中国国際航空宇宙博覧会で初めて世界に公開された。武装攻撃、監視、物資輸送、戦場での支援など多用途での運用を想定している。機動性は高く、険しい地形にも対応できる。梯子を昇り、高い障害物を乗り越えることも可能だ。都市部から高原、山岳地帯に至るまで、人間とネットワーク化された編隊を組み、戦闘能力を大きく引き上げることができる。
中国の軍事アナリストは、オオカミロボットは空中ドローン以上の戦術的効果をもたらす可能性があると指摘する。
最近、ウクライナ軍が地上ロボットとドローンだけでロシア兵を捕虜にした事例も報告されている。
戦場でロボットと対峙することが敵兵の精神を削ぎ、士気を低下させる効果がある。攻撃を受けても前進しつづけるわけだから、敵に強い圧迫感を与える。
かくして軍事ロボット先進国は中国である。
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