宮崎正弘『地獄の中国(ワニブックス)書評 全体主義のもとで経済がまともに運営される筈はない 習近平が中国を滅亡に導くのだ
評 植田剛彦(評論家)
いきなりガツンと強烈なアッパーカット。日本のメディアの中国報道は99%が嘘だという。
GDPの30%を占めた不動産バブルがはじけ、中国経済は真っ逆さまという話はいまでは常識、だれもが知っている。
恒大集団のデフォルトは五年前のことだが、日本の大手メディアは小さく報じ、持ち直すという中国の言い分をそのまま掲載していた。
著者の宮崎氏はその数年以上も前から現地で実態を目撃し、バブル破産を予測したばかりか、その後の中国の経済的破滅を予想する。
なぜならハイテクも軍事も張り子の虎だからだ。
こう言う。
「ファーウェイの新型スマホには米国が禁輸していた筈の7ナノ半導体が使われていた。しかし供給元とされる国内ファウンドリ「SMIC」(中芯国際)にはまだそんな技術はない。からくりはインテルで半導体設計に従事してきた蘇飛が米国で20年間過ごした後、中国に帰国したことが大きい。彼は清華大学教授に就任した。蘇教授いがいにも米国で名をあげた中国人学者が陸続として中国へ帰国したが、動機は「愛国」から? それとも高給厚遇に釣られたか、あるいは米国内の反中国ムードの嫌気がさしたからか。
大言壮語の国だから、米国に追いついたと自慢したい。この経済ナショナリズムは病的である。その突っ張り、張り子の虎が「中国は米国を越えた」という自己陶酔型の宣伝に集約されていると考えられる」。
軍事力も中国の空母はアメリカに比べると玩具の類い。
そもそも中国兵が闘わない特質を、宮崎氏の指摘のほかにあまり聞いたことはない。
日支事変のエピソードが本書では紹介されている。
「遠征軍第十一軍総司令の宋希濂は、中国戦線米軍司令官兼蒋介石付参謀に就いていたスティルウェルと2回だけ話を交わしたと振り返り1943年春の昆明における会話を苦々しく振り返った。
「(国民党)政府機関は腐敗無能で行政能力は劣悪だ。インフレは際限なく、人民の生活は痛苦の極みだなどと話した後、私が米軍による兵員と器材の補充は遅きに過ぎると口にするや、彼は直ちに立ち上がって右腕を振りながら中国語で大声を上げ、『ダメだ、ダメに決まってる。腐っている、腐り切っている』と激昂し、事例を示しながら(国民党)軍政部を辛辣に批判した。『米国が中国に供与する大量の物資は、米国納税者のカネなんだ。貴様ら(国民党)軍政部に与えたが最後、正々堂々と掠め取られてしまう。(援助した)薬品や通信器材なんぞは、路上で買える始末ではないか。貴様らの政府はデタラメが過ぎる』
中国軍高官は軍事専門家というより汚職専門家である。
そしてこうも書く。
「中国軍人は誤魔化しと汚職を愛するが、戦争となると、突然動かないのである」
「中国軍兵士の素質と訓練が劣っていることは認めざるをえない。戦闘における動きは未熟で、誰もが戦略、或いは戦術上の要求を満足させることは不可能だった。前進攻撃や敵拠点攻略などに際しての事前作戦においても、完璧を求められない。兵士には独立して作戦に当る精神が欠如しており、指揮官が斃れたら、直ちに戦闘能力を喪失してしまう。命令を徹底することができず、戦機を誤り、作戦全体に悪影響を与える指揮官もいる。将校も兵士も機密保持と防諜意識に欠け、情報工作に当っては迅速で的確な日本軍には及ばない」
中国批判の類書はやまのようにあるが、やはり氏の切り口は鋭利である。
このブログへのコメントはmuragonユーザー限定です。